「転職回数が多いと、もう人生終わりなんじゃないか…」
そんな不安に押しつぶされそうになったこと、ありませんか?
筆者は、10回の転職を経験してきた中で、書類選考や面接で転職回数の壁に何度もぶつかってきました。
でも、これまでの経験から、「転職回数」よりも「どこに応募し、どう伝えるか、どう活かすか」が重要だということに気づきました。
この記事では、「転職回数が多い=人生終了」ではないという根拠を、私のこれまでの転職経験・転職市場のデータ・実例を交えて解説します。
「IT・外資・ベンチャーなど、転職回数に寛容な業界・職種」
「面接・書類での伝え方」
「辞めグセにならない考え方」
など、10回転職したからこそ分かった実践的なノウハウをまとめました。
この記事を読み終えたころには、今よりもっと前向きに転職活動に向き合えるはずです。
そして何より、「自分のキャリアはまだ終わっていない」と思えるようになります。
この記事の重要ポイント
- 転職回数が多いと人生は終わりなのか?
- 転職回数が多いと不利になる本当の理由
- 転職回数が多くても評価される人の特徴は?
- 転職回数が多い人の対策を紹介!
- 面接・職務経歴書で「強みに変える」伝え方のテクニック
- 転職回数を気にしない業界・企業とは?
それでは順番に説明していきますので、ぜひ最後までお付き合いください!
😱 「転職回数が多いと人生終わり」は本当?思い込みを正す
転職回数が多いと「もう人生終わりかも」と考える方は多いです。
しかしながら、私の10回の転職経験からの実感は、「確かに選択肢は減るが、機会はある」です。
転職市場での価値観は変わってきており、「転職回数の多さ」よりも「これまでに何を得たか」と「入社後の活躍」が重要視されています。
ここでは以下の5つの視点からその誤解を解きほぐし、現実的な判断ができるようにお伝えします。
- そもそも転職は何回から「多い」と思われるのか
- 年代別の転職回数と企業側の見方
- 採用担当者は何を重視しているのか
- 「人生終わり」と感じる心理の正体とは
- 日本と海外で違う、転職への価値観
①そもそも転職は何回から「多い」と思われるのか
一般的に「転職回数が多い」と見なされる基準は、年齢によって異なります。
たとえば、以下はあくまで目安ですが、
年代 | 多いと感じられやすい転職回数 |
20代 | 3回以上 |
30代 | 4~5回以上 |
40代 | 5~6回以上 |
このような水準が一つの「多い」の目安とされています。
ただし、これは業種や職種、そして「1社あたりの在籍期間」によっても大きく変わります。
たとえば、IT・Web業界では、2~3年ごとにキャリアアップするのも珍しくありません。
つまり、「何回が多いか」ではなく、キャリアの長さに応じて「どんな狙いがあって転職し、どんなキャリアを積んできたか」を説明できるかがカギになります。
一方、金融機関や製造業など、保守的な業界では3社以上の転職歴があると懸念を持たれることも。
②年代別の転職回数と企業側の見方
政府が公開している「雇用の構造に関する実態調査(令和2年)の転職回数別転職者割合」によりますと、年代別の転職回数は以下のとおりです。
年代 | 転職1回 | 転職2回 | 転職3回 | 転職4回 | 転職5回 |
25-29歳 | 49.3% | 23.9% | 17.8% | 5.9% | 2.0% |
30-34歳 | 27.1% | 24.9% | 23.6% | 14.8% | 3.5% |
35-39歳 | 14.6% | 22.2% | 25.0% | 17.5% | 8.3% |
40-44歳 | 14.9% | 12.9% | 20.0% | 15.4% | 11.5% |
45-49歳 | 13.9% | 14.1% | 22.6% | 17.1% | 11.7% |
50-54歳 | 14.1% | 18.3% | 17.5% | 14.1% | 11.4% |
55-59歳 | 17.0% | 14.6% | 17.6% | 14.9% | 11.6% |
この統計を見ると、年齢が高くなるほど転職回数の差がなくなってくることが分かります。
たとえば「転職3回で多いのでは?」と感じるかもしれません。
しかし、統計によると、実際には30代以降であれば、「際立って多い」とも言えないことが読み取れます。
企業が気にするのは「短期間での離職の繰り返し」や「キャリアに一貫性がない転職」です。
たとえば、1年未満の在籍を数回繰り返していると「飽きっぽい」「責任感がない」と見られる可能性があります。
逆に言えば、転職回数が多くても、それぞれの理由と成果を説明できれば「行動力がある」「経験値が高い」と評価されることもあるのです。
③採用担当者は何を重視しているのか
採用担当者が本当に重視しているのは、「長期的に活躍してくれるか」「すぐにフィットし、チームと協業できるか」という点です。
具体的には以下の3点に集約されます:
- 転職理由が納得できるか →「やむを得ない事情」や「前向きなキャリア志向」であればOK。
- 応募企業とマッチしているか →スキル・経験・価値観が合っていれば、過去の転職回数はほぼ不問。
- 一貫性や成長意欲があるか →異業種への挑戦でも、しっかりとした軸・強みがあれば好印象です。
実際、筆者が採用企業との面接を通じて感じるのは、「回数」だけで不採用にすることはほぼありません(書類選考では不採用となることがあります)。
志望動機と今後のキャリアの方向性が一貫していれば、むしろ豊富な経験がプラス材料になることもあります。
④「人生終わり」と感じる心理の正体とは
転職回数が多いと感じて「自分はもう終わりだ」と思ってしまう方は、自責思考が強く、周囲の評価を気にしやすい傾向にあります。
こうした心理の背景には、
- 学生時代からの「レールから外れたら終わり」という思い込み
- 日本社会に根付く「転職=マイナス(逃げ)」のイメージ
- 保守的な企業からによる転職回数を理由とした見送り
などが挙げられます。
しかし、現実にはキャリアは一本道ではありません。
実際、3回以上転職して年収・キャリアアップしている人や、ライフスタイルに合った働き方を実現している人もたくさんいます。
自分の「これまで」ではなく、「これから何ができるか」を見ていく視点に切り替えることが、最初の一歩です。
⑤日本と海外で違う、転職への価値観
日本では「長く働く=信用」という価値観が根強いですが、海外、特に欧米では「より良いキャリアを求めての転職」は当然の行動と考えられています。
たとえば、アメリカのビジネスパーソンは、キャリアで転職を11回程度経験するのが一般的だと言われています。
転職を「スキルアップ」や「適職探しの過程」として前向きに捉える文化があるためです。
また、日本よりも企業が従業員を解雇しやすい背景も理由のひとつでしょう。
一方、日本ではまだ「安定志向」が強く、今でも応募条件として「転職は3回まで」とする企業があるのも事実。
実際に筆者は外資系企業を4社経験していますが、転職回数で応募が制限されたり、面接で転職回数に関する質問を受けたりしたことは一度もありません。
もしあなたが「日本の価値観と合わない」と感じるなら、外資系企業を選択肢に入れるのも一つの手です。
😲 転職回数が多いと不利になる本当の理由
転職回数が多いことで、「選考で誤解されやすいポイント」が存在するのは事実です。
たとえば「また辞めるのでは?」「キャリアの軸がないのでは?」といった懸念は、企業側が慎重になる要因になります。
ここでは、転職回数の多さが不利になる代表的な4つのポイントを解説します。
- 「またすぐ辞めるのでは」と思われる
- キャリアに一貫性がないと評価されにくい
- スキルや実績が正確に伝わらない
- 社会的信用・年収に影響が出ることもある
①「またすぐ辞めるのでは」と思われる
転職回数が多いと、採用企業は「うちに入ってもまたすぐ辞めるのでは?」と懸念されます。
これは特に、1年未満の在籍が複数回ある場合に顕著です。
たとえば、以下のような職歴は懸念されがちです:
A社:2021年4月〜2022年2月(10ヶ月)
B社:2022年4月〜2023年1月(9ヶ月)
このように短期間の離職が続くと、「忍耐力がない」「適応力が低い」といった印象を与えてしまうのです。
企業側としては、採用コスト(求人掲載の費用・転職エージェントの報酬・面接・教育)をかけて採った人材がすぐ辞めてしまうと、損失が大きくなるため慎重になります。
この懸念を払拭するには、
「今回は長期的に働ける理由」
「過去の離職理由(自責思考で)」
を明確に伝える準備が欠かせません。
筆者も面接官として、応募者から「入社前に聞いていた条件・業務内容とは違った」という退職理由を聞くことがあります。
応募者からするとそれが真実なのかもしれませんが、この様な伝え方では第三者に対しては他責思考の印象を与えかねません。
こういった場合は、
「入社前に聞いていた条件とは違ったのですが、私の確認不足もありましたので反省しております」
といった形で自分の至らなかった部分を認めていることを伝えておくと聞き手の印象も変わります。
②キャリアに一貫性がないと評価されにくい
企業が評価しづらいのは、転職のたびに職種や業種がバラバラで「どんなキャリアを目指しているのか分からない人」です。
例を挙げると:
大学卒業 → 営業職 → 飲食店 → 事務 → 営業(再び)
このような職歴では、応募企業とのマッチングが判断しづらくなります。
もちろんキャリアチェンジ自体は悪くありません。ただし、その都度の目的や学びが説明できるかが重要です。
採用担当者は「将来を見据えた選択ができる人か」を見ています。
一貫性のなさは、迷走感や目的意識のなさと受け取られる危険性があるため、キャリアの軸(例:顧客志向を大事にしているなど)を持って語ることが大切です。
③スキルや実績が正確に伝わらない
転職回数が多い人ほど、経験した業務や役割が多岐にわたることがあります。
ところが、それを履歴書や職務経歴書でうまく整理できていないと、
「結局この人は何ができるの?」
「ウチに入ってどのような貢献をしてくれるの?」
という点が採用企業には伝わりません。
特に注意したいのは、以下のようなパターン:
- 事務職で「業務全般に従事」としか書かれていない
- 営業職で「売上に貢献」としか記載されていない
このように抽象的な表現だけでは、あなたのスキルや成果が伝わりません。
結果的に「十分なスキルと経験がないのでは?」と誤解され、書類選考で不採用となってしまうのです。
そこで、以下のように具体的な実績を数値で示すことが重要です:
- 「〇〇のカテゴリーにおいて、月間売上目標120%を6ヶ月連続達成」
- 「請求書作成業務を1日15件処理、〇〇の施策を講じたため、ミスの発生件数ゼロの状態を〇ヶ月継続」
このように実績を可視化し、転職先での「再現性」を伝えることができれば、転職回数の多さに関係なく、あなたの価値が伝わるようになります。
④社会的信用・年収に影響が出ることもある
転職回数が多いことで、「住宅ローンが通りにくくなる」「クレジットカードの審査に影響が出る」といったケースもあります。
これは、勤続年数=社会的信用とみなされやすいためです。
そのため、転職を検討している人は、転職前に住宅ローンやクレジットカードの申し込みをしておくことをおすすめします。
また、転職のたびに年収がリセットされたり、希望年収が通りにくくなったりする傾向もあります。
たとえば、下記のような例があります:
- 30代前半で転職5回、在籍年数がいずれも1年未満
→ 採用側から「すぐ辞めるリスクがある」と見なされ、年収提示が低めになることも
→これまでの在籍企業で一番低かった年収が基準とされてしまう
→契約社員としてのスタートとなる
ただし、スキルや実績がしっかりしていれば、転職回数に関係なく年収を上げていくことは可能です。
重要なのは、職歴が多くても「転職先で再現できる価値がある」と伝えられるかどうか。
転職のたびに確実に経験値を積み、成果を出していれば、逆に「積極的に成長してきた人材」として評価されます。
🏆 転職回数が多くても評価される人の特徴
転職回数が多くても、「この人なら会社に貢献してくれそう」と思われる人には共通するポイントがあります。
実際、書類選考通過後の面接では「転職回数」よりも「中身」が見られているため、要点を押さえればプラス評価も十分可能です。
転職10回の筆者が特に重要と考えるのは以下の5つの項目です。
- スキルや経験を成果として語れる
- キャリアの軸や目標が明確
- 柔軟性と適応力を持っている
- 前向きな理由で転職を重ねている
- 自分に合った業界や働き方を選べている
①スキルや経験を成果として語れる
転職回数が多くても、「何をやってきたか」を具体的に話せる人は、むしろ説得力があります。
たとえば、以下のような実績の伝え方です。
Before(NG) | After(OK) |
「営業として〇年の経験があります」 | 「〇〇サービスの営業で〇社を担当し、月間新規契約数でチーム1位を3ヶ月連続達成しました」 |
「事務として書類の作成・管理を担当しました」 | 「〇〇のシステムを活用することで、1日平均20件の請求処理において1年間ミスがない状態を継続しています」 |
こうした具体的な成果(定量的評価)を言える人は、即戦力として期待されます。
また、同じ職種での転職でなくても、「人と関わる仕事が得意」「数字に強い」「プロジェクトマネジメントの経験」といった横断的なスキルを自信を持って語れると、それだけで印象が変わります。
採用企業は「入社後の活躍」を重視するので、転職経験を「再現性のあるスキルで採用企業の問題を解決できること」で示せる人は評価されやすいのです。
②キャリアの軸や目標が明確
転職理由を聞かれたときに、「何となく合わなかったから」ではなく、「私は○○をキャリアの軸としていて、それを実現するために転職しました」と説明できる人は、好印象です。
たとえば、
- 「私は、顧客満足に貢献することを軸にしていて、よりお客様と長く付き合える営業スタイルを求めて転職しました」
- 「人材育成に関わりたくて、前職における教育担当の経験を活かせる応募先を選びました」
こういったキャリアの軸=自分の仕事観や価値観がある人は、会社との相性も判断しやすく、企業側も安心して採用できます。
軸があれば、職種が変わっても「この人はブレないな」と信頼されやすくなるのです。
職種や業種にばらつきのある人でも、何らかの軸を抽出してアピールしましょう。
③柔軟性と適応力を持っている
何社も経験してきたということは、「新しい環境に適応してきた」という経験がある証拠です。
これは、新しい環境に馴染むスピードや柔軟性として評価されます。
たとえば、業界も会社規模も違う職場で働いてきた人が、「どんな環境でも成果を出してきました」と語れると、それは大きな安心材料です。
企業にとっても、「変化に強い人」「教えたらすぐ吸収できる人」は頼もしい存在。
特にベンチャーや外資系のように変化が早い企業では、柔軟性=即戦力として評価されます。
自己PRでは、「新しい業務への対応が早い」「初対面の人ともすぐ打ち解けられる」など、あなたの適応エピソードを具体的に話すのがおすすめです。
④前向きな理由で転職を重ねている
「逃げの転職」ではなく、「成長や新たな挑戦のために」といった前向きな理由で転職してきた人は、むしろ行動力のある人として評価されます。
たとえば、次のような転職の説明ができる人は強いです。
- 「人事部での経験を活かして、教育制度のある企業でスキルを発揮したいと思い、転職を決意しました」
- 「よりお客様に寄り添える働き方をしたくて、お客様第一主義の御社を次のステップとして選びました」
また、離職理由に「人間関係が…」という話があっても、それを自責思考で改善したい・自分を変えたいという気持ちで転職したという説明にすれば、印象は大きく変わります。
大切なのは、「過去の経験を活かす未来」を語ることです。
⑤自分に合った業界や働き方を選べている
転職を重ねることで「自分に合う働き方」が分かってきた人は、次の職場では定着率が高くなり、企業側も安心できます。
たとえば、
- 「大企業よりも裁量の大きな中小企業が合っていると気づいた」
- 「成熟期にある企業よりも成長期にある企業の方がモチベーションも上がる」
こうした「自分の活かし方」を知っている人は、企業とのマッチング率も高く、長く活躍する可能性が高いです。
この視点は、面接でも伝えるべきポイントです。
自分の強みと働く環境の相性を語ることで、「この人は自己分析力が高い」と思ってもらえます。
⚠️ 転職回数が多い人がつまずきやすい落とし穴とその対策
転職回数が多い人には、いくつかの「つまずきやすいポイント」が存在します。
これらのポイントを放置すると、またすぐに転職したくなる…という悪循環に陥りがちです。
ここでは、筆者が実際に転職に失敗して回数を重ねてしまった経験から、特に重要な5つの落とし穴を紹介します。
これら5つの落とし穴とその対策を知ることで、「次こそ失敗しない転職」が実現しやすくなります。
- 条件だけで転職を繰り返す
- 自己分析・企業研究の不足によるミスマッチ
- 転職理由に一貫性がない
- 面接・書類でネガティブ印象を与える
- 「辞めグセ」がつきやすい心理的要因
①条件だけで転職を繰り返す
「年収が上がる」「通勤が楽になる」「特別休暇が多い」などの条件だけで転職先を選んでしまうと、仕事のやりがい・実績の再現性・職場文化といった本質的な部分でミスマッチが起きやすくなります。
たとえば、前職より年収が50万円アップしても、「業務内容が合わない」「人間関係がストレス」などの理由で、早期離職するケースはよくあります。
【例:条件先行型の失敗パターン】
- 30代前半、事務職から営業職へ転職
- 年収UPに惹かれて入社
- 売上という成果を常に求められる営業職が自分の性格が合わず、これまでの経験も活かすことができないことから半年で退職
条件は重要ですが、「自分に合った業務内容」や「成長できる環境」などの価値観も大事にすることで、定着しやすくなります。
対策:転職の「軸」を言語化するワークシートなどを活用し、条件と価値観のバランスを整理しましょう。
②自己分析・企業研究の不足によるミスマッチ
転職で失敗しがちなパターンに、「なんとなく応募して内定をもらったから入社した」というケースがあります。
これは、自己分析(自分の強み・弱み・価値観)と企業研究(社風・仕事内容・評価基準)が足りていない状態です。
たとえば、
- 「面接の雰囲気が良かったから入社」→ 入社後に体育会系で驚く
- 「未経験OKだから応募」→ 実際は常に人手不足の状態で、教育体制が不十分で業務をこなせない
このように準備不足だと、「思っていたのと違う」と感じて早期退職につながります。
対策:
- 自己分析にはdodaの「自己PR発掘診断」などの無料ツールを活用
- 企業研究は転職口コミサイト(OpenWork、ライトハウス)やIR情報も参考に
- カジュアル面談を依頼し、「1日の働き方」や「評価制度」など具体的な質問を投げかける
③転職理由に一貫性がない
「転職理由がバラバラで、どれも納得感がない」- これが採用担当者にとって最も懸念するポイントです。
たとえば、
- A社退職理由:「新しいことに挑戦したかった」
- B社退職理由:「ルーチンワークが合わなかった」
- C社志望理由:「安定性を重視したい」
こうした発言を繰り返すと、「結局この人は何がしたいの?」と思われてしまいます。
一貫性がないと見なされる理由:
- キャリアの軸が定まっていない
- 感情的・場当たり的な転職に見える
- 自己分析が甘く、応募先とのマッチングが測れない
対策:転職理由を「ひとつのストーリー」で語る
「どの経験も“○○という軸”で判断してきたので、今回もここを選んだ」と、共通テーマを持たせると一貫性が生まれます。
たとえば、筆者の場合は、職種・業種を超えた転職を経験したこともありますが、「海外市場との関わり」という点が常に軸としてありますので、その部分を強調するようにしています。
④面接・書類でネガティブ印象を与える
転職回数が多いと、それだけで「ネガティブなイメージ」を持たれやすい面は実際にあります。
そこにさらに「言い訳」「他責」が加わると、評価は大きく下がります。
たとえば、面接でのNG例:
- 「前職がブラックだったので辞めました」
- 「上司と合わなくて…」
- 「希望したプロジェクトに関わらせてもらえなかった」
これらは本人にとっては正直な思いかもしれませんが、採用企業側には「ウチに入社しても、またネガティブな要素を探して辞めるのでは?」と映ってしまうのです。
対策:
- 辞めた理由は自責思考で語り、その失敗から学んだことをアピール
- 応募書類・面接ではできること・やりたいことを前向きに記載
- 面接でも「この企業でどんな貢献ができるか」に話を持っていく
⑤「辞めグセ」がつきやすい心理的要因
何度か転職を繰り返していると、「嫌だと感じたらすぐ辞めてしまう」「また転職すればいいか」となりがちです。
これは、「辞めグセ」という心理的習慣です。
この習慣は、「困難を乗り越える力」や「成長の機会」を奪ってしまいがちです。
【辞めグセがつく原因の例】
- 転職によって「嫌なことから解放されてラクになった」という体験
- 問題が起きたときの逃避パターンが身についている
- 自分を過小評価し、逃げの転職で解決してしまう
対策:
- 転職以外の解決方法(異動・配置転換・上司への相談)も検討する
- 3ヶ月・6ヶ月・1年後の自分の姿を明確にイメージしてから動く
- 転職以外の「成長につながる我慢」も選択肢に入れる
📄 面接・書類で転職回数を強みに変える方法
転職回数が多いことはネガティブに捉えられる傾向がありますが、応募書類の書き方や面接でのアピール次第で「行動力」や「多様な経験」といった強みに変えられます。
ここでは、そのための具体的なテクニックや準備のコツを6つに分けて紹介します。
- 「今回は長く働きたい意思」を示す方法
- 職務経歴書でスキル・成果を端的に伝える
- 転職理由をポジティブに言い換えるコツ
- 面接で聞かれやすい質問と答え方の例
- 書類選考で差がつく工夫ポイント
- 転職エージェントを活用して印象を改善
①「今回は長く働きたい意思」を示す方法
企業が転職回数の多さを懸念する最大の理由は、「またすぐ辞めるのでは?」という不安です。
これを払拭するためには、長く働く意志と理由を「具体的に」伝えることが重要で、表面的な「頑張ります」や「大丈夫です」だけでは説得力が弱いです。
たとえば、面接で次のように語ると効果的です:
「これまでの転職で自分の適性を知ることができました。御社の○○という社風や業務内容が、私のキャリアの軸と一致しており、長く働ける環境だと感じています」
ここでのポイントは「なぜ御社なのか」「今までの経験がどう活きるか」を絡めて説明すること。
また、面接の最後に「3年後、5年後に御社で〇〇の立場を目指したい、〇〇の成果を出したい」と中長期的な展望を話すと、より好印象になります。
②職務経歴書でスキル・成果を端的に伝える
転職回数が多い人ほど、職務経歴書が長くなりがちです。
ですが、採用担当者は一人にかける時間が例えば5分ほどしかないと考えると、「入社後に何ができる人か」が一目で分かるレイアウトと表現が求められます。
効果的なポイント:
- 各社での職務内容は「共通スキル」にまとめる
- 実績や成果は数値で書く(例:「前年比120%達成」など)
- 「転職の理由」より「転職で得たスキル・成長」を記載
【例】
■〇〇株式会社(2020年4月~2022年3月)
・法人営業(新規開拓、既存フォロー)
・月間売上150万円以上を継続、部門トップを5回獲得
・営業フローの改善によりチーム全体のアポ率20%向上
このように、実績を「職種名+成果+具体的数値」で構成すると、短時間で印象に残る経歴になります。
また、すべての経験・スキルを記載するのではなく、アピールしたい項目を際立たせるために、不要な要素は「削る」ことも重要です。
③転職理由をポジティブに言い換えるコツ
面接での転職理由は、言い方ひとつで印象が大きく変わります。
ネガティブな事実がある場合でも、それを成長や前向きな挑戦として表現することが大切です。
【言い換え例】
ネガティブな表現 | ポジティブな表現へ |
上司と合わず辞めた | 自分の価値観を見直した結果、よりチームワークを重視する環境を求めた |
残業が多すぎた | ワークライフバランスを見直し、効率的かつ長期的に働ける職場を重視した |
仕事が合わなかった | 自分の得意分野に注力したくなり、キャリアの方向性を再定義した |
正直さは大切ですが、相手企業にとってプラスになる話に着地させるのがコツです。
④面接で聞かれやすい質問と答え方の例
転職回数が多い人に対して、面接でよく聞かれる質問にはパターンがあります。
このような質問に対しては、事前に準備しておくことで、焦らず、前向きに答えることができます。
【よくある質問と模範回答例】
Q:「なぜこれまで何度も転職しているのですか?」
A:「以前は自分の軸が定まっておらず、転職のたびに自分の適性を見極める機会を頂きました。その経験から、私は○○業務に最もやりがいを感じると分かりました。今回の御社では、その強みが活かせると思い応募しました」
Q:「短期離職が続いていますが、なぜですか?」
A:「以前は職場選びの軸が曖昧で、企業研究も不足していたと反省しています。今は『○○』という観点で企業を選んでいます。御社の理念・社風がその軸に合致しており、長く働ける環境だと確信しています。」
答え方のコツは、過去の失敗を認めつつ、次にどう活かしているかを明確に語ることです。
筆者も短期離職の経験がありますが、「異業種での自分のスキル・経験の再現性の見積もりが甘かったことが原因です」と正直に伝えるようにしています。
⑤書類選考で差がつく工夫ポイント
転職回数が多いと、書類選考で落とされるリスクも高まります。
そのため、第一印象となる職務経歴書の書き方に一工夫が必要です。
応募書類のチェックポイント:
- 職歴をまとめる工夫:似た職種や業務を「まとめ書き」できるキャリア式のフォーマットで(dodaのWebサイトからサンプルのダウンロードが可能)
- PR欄は短く、要点だけに絞る:「○○が得意」「実績あり」「再現性がある」など
- 志望動機は企業ごとに最適化する:汎用的な表現ではなく、企業理解を示す内容に
また、書類のレイアウトも評価に影響します。余白が適度にあり、項目ごとに見やすく整理されているかどうかも重要です。
⑥転職エージェントを活用して印象を改善
転職エージェントは、あなたの職歴の「伝え方」を一緒に考えてくれる心強い存在です。
とくに転職回数が多い人は、「自己PRの整理」や「企業側への説明」を第三者に客観視してもらうことで、印象を大きく改善することができます。
転職回数の多い人が転職エージェントに依頼するメリット:
- 自分では気づかなかったマッチ度の高い企業を紹介してもらえる
- プロによる書類の添削により、伝えたいことを明確化できる
- 面接前の模擬面接により、転職回数に関する質問の対策を講じることができる
特に「非公開求人」や「転職回数を気にしない企業」の情報は、転職エージェントに依頼する方が圧倒的に効率的です。
転職エージェント活用については、相性の良い担当者と出会うまで複数登録して比較するのがコツです。
🏢 転職回数を気にしない業界・職種とこれからの選択肢
「転職回数が多いともう不利なのでは…」と感じている方へ。
実は、転職回数に寛容な業界・企業・職種はあります。
転職に寛容な業界・企業・職種があるからこそ、私も10回転職することができました。
ここでは、転職回数を気にしない傾向の業界の特徴と、自分に合った道を見つけるためのリサーチ方法を紹介します。
- 転職回数に寛容な業界とは?(IT・Web・外資など)
- 成果重視の営業・コンサル・フリーランス職
- 成長期のベンチャー・スタートアップ
- キャリアの多様性が活かせる人材・教育業界
- 自分に合う業界を見つけるためのリサーチ方法
転職回数に寛容な業界とは?(IT・Web・外資など)
IT業界、Web業界、外資系企業は、他業界と比べて「転職回数」より「スキルと実績」を重視する傾向が強いです。
特に、技術力やプロジェクト経験が重視される職場では、過去の職歴の多さより「入社後、何ができるか?」が重視されます。
【転職回数に寛容な業界の特徴】
業界 | 特徴 |
IT・Web | スキル重視。プロジェクトごとの実績が評価されやすい |
外資系企業 | 成果主義・実力主義。ジョブホッピング(頻繁な転職)も一般的 |
クリエイティブ | 経験の幅があるほど重宝される。ポートフォリオが重要 |
特にエンジニアやデザイナーは、実務経験があれば回数を気にしない求人も多く、転職活動においては豊富な実績が重視されます。
成果重視の営業・コンサル・フリーランス職
営業やコンサルティング、さらにはフリーランスなどの職種では、成果で語れる人材が評価される文化があります。
たとえ職歴が多くても、「〇〇の商材で売上を◯%向上させた」「問題解決のプロセスを提案して採用された」など、具体的な成果があれば歓迎されることも少なくありません。
【成果主義の職種例】
- 営業職(法人営業・個人営業):目標達成率や新規開拓実績が重要
- コンサルタント:課題解決力や業界知見が求められる
- フリーランス(IT・ライター・マーケターなど):ポートフォリオと過去の実績が重要
こういった職種では、職務経歴書やポートフォリオで成果を明示することで、「何回転職したか」ではなく「何を成し遂げたか」が評価軸になるのが特徴です。
成長期のベンチャー・スタートアップ
ベンチャー企業やスタートアップ企業は、成長期にあるため、常に人材不足の状態にあります。
また、日々の変化が激しく、柔軟な思考やスピード感ある行動力が評価されます。
こうした環境では、「さまざまな企業で経験を積んできたこと」がプラスに働くこともあります。
【ベンチャーで評価される人の特徴】
- 業務の境界にとらわれず積極的に動ける
- 組織づくりに関心がある
- スピーディな意思決定が得意
たとえば、創業2〜3年のスタートアップでは、「大手から来てくれるのは心強い」という意見もあります。
こういった企業では、「これまでの経験を活かして、これから何をしてくれるか」に重きが置かれます。
キャリアの多様性が活かせる人材・教育業界
人材業界や教育業界は、「人に寄り添う経験」や「多様な立場を理解できる経験」を求める傾向が強く、転職経験そのものが活かしやすい業界です。
実際に、筆者が登録している転職エージェントのキャリアコンサルトも多様な経歴をもった方が多い印象です。
【評価される経験の例】
- 異業種・異職種を経験していることで、多角的な視点を持っている
- キャリアでつまずいた経験があることで、他者に共感できる
- 人材紹介や教育に対して「当事者視点」を持って関われる
特にキャリアアドバイザー、講師、教育プランナーなどの職種では、転職回数が「業務に活かせる豊かな経験」とみなされることも多いのです。
自分に合う業界を見つけるためのリサーチ方法
「どの業界が転職回数に寛容かわかったけど、自分に合っているか分からない…」という方は、まず次のようなリサーチ方法を試してみてください。
【リサーチの3ステップ】
1.自己分析ツールを使う
- dodaの「自己PR発掘診断」
- 16Personalities(性格診断)
→ 自分の価値観・働き方の好みの傾向を把握
2.業界研究をする
- 転職サイト(doda等)で「業界別動向」や「転職成功事例」をチェック
- 企業別の離職率や働き方(例:四季報や転職口コミサイト)
3.OB・OG訪問やカジュアル面談を活用
- 実際にその企業に勤務している人と話すことで、リアルな実態を知ることができる
こうした調査をすることで、「自分に合う企業か」「転職回数が不利にならないか」を事前に判断しやすくなります。
🍀 この記事のまとめ
「転職回数が多いと人生終わりなのか…」
誰にも言えない不安や焦りを抱えている方も多いはず。
でも大丈夫です!
この記事を通じてお伝えしたかったのは、「転職の回数」よりも「転職から得たもの」や「伝え方」が大切だということ。
転職を重ねた経験は、決してマイナスではありません。
それは、あなたが「自分にとってより良い場所」を探し続けた結果でもあり、自分の気持ちに向き合わず漫然と現職に留まることよりも一歩先を進んでいるとも言えます。
この記事では、そんなあなたが次の一歩を踏み出せるよう、転職活動のコツや考え方をまとめてきました。
この記事の重要なまとめポイント
- 転職回数が多くても人生は終わらない。重視されるのはスキルや価値観とのマッチング。
- 企業が重視しているのは、「入社後の活躍」。
- 転職理由やキャリアに一貫性を持たせることで信頼度アップ。
- 自分に合う職場を見つけるためには、自己分析と企業研究がカギ。
- 職務経歴書や面接での伝え方で印象は大きく変わる。
- IT・Web・外資系・ベンチャーなど、転職回数に寛容な業界もある。
キャリアに正解はありません。
何度転職していても、あなたの経験はすべて糧になります。
これまでの道のりがあるからこそ、これからの選択に深みが出るんです。
自分の過去を否定するのではなく、「活かす」転職活動をはじめてみませんか?
この記事が少しでも参考になれば幸いです。最後まで読んで下さりありがとうございました!
また次回の記事でお会いしましょう!
✏️ にぬきたまご
これまで主にエンタメ業界で10回の転職を経験。日系、ベンチャー、外資系に勤務。現在は11社目の企業で執行役員として勤務中。
【転職活動の実績】
- 転職回数:10回
- 応募:200社以上
- 登録転職エージェント数:30社以上
- 登録転職サイト:10社以上
これまでの転職活動の経験を活かして、2020年より転職ブログを運営。応募者の目線で転職活動のお役立ち情報を発信中。
X(Twitter):@tenshoku_sitara