「試用期間6か月って、長すぎて不安…もしかしてやばい会社なの?」
転職活動中に求人票やオファーレターを見て、そんな疑問を抱いたことはありませんか?
一般的には3か月が多いと言われる試用期間ですが、実際には6か月を設定する会社もあります。
筆者自身、10回の転職で6か月の試用期間を何度か経験し、現在の勤務先の試用期間も6か月でした。
その結果わかったのは、「6か月=やばい」ではなく、企業の背景や特性によるもの、または特に強い意図はなく、「採用側にとって長いに越したことはないだろう」という温度感だということです。
この記事では、試用期間6か月のメリット・デメリット、法律や待遇のルール、トラブル時の対応、そして不安を乗り越える具体的な行動計画をまとめました。
客観的データを参照しつつ、筆者自身の実体験も交えて解説するので、「6か月の試用期間は危険なのか」が明確に理解できるはずです。
読み終えるころには、求人票に「試用期間6か月」と書かれていても慌てずに判断できるようになり、キャリアの選択肢がぐっと広がります。
この記事の重要ポイント
- 試用期間6か月はやばいのか?:3〜6か月が相場
- 企業側の背景:ミスマッチ防止・投資の回収・適性判断のため
- 試用期間中の待遇・ルール:本採用後との給与差は設定可、社保は要件満たせば加入必須、有給は6か月後付与
- トラブル対処法:不当解雇・期間延長への対応フローを紹介
- 本採用を有利に進める方法:30-90-180日計画で成果を出し、不安時は並行して転職準備
それでは6か月の試用期間について順番に解説していきます!
😣 試用期間6か月はやばい?結論と基礎知識を先取り
転職活動中の方が「試用期間は6か月」と聞くと不安になりますよね。
でも実際には、法律上の上限はなく、3〜6か月の間で設定されることが多く、期間に対する考え方は企業によってまちまちです。
大切なのは「その期間に何を評価されるのか」を理解しておくこと。
ここでは以下の5つを整理して解説します。
- 試用期間の定義と目的
- 一般的な試用期間は?
- 法的な枠組み
- 研修期間との違い
- 企業が6か月で見る評価軸
試用期間の定義と目的
試用期間とは「お互いの適性を見極めるための猶予期間」です。
試用期間には、企業にとっては採用した社員の実務上の評価、求職者にとっては職場環境の確認期間という二面性があります。
たとえば、筆者が転職したとき、最初の3か月間は上司が「この人はチームに合うか」を細かく見ていました。
一方で筆者は「この会社のスピード感で成果を出せるか」を確認していました。つまり試用期間は片側だけのチェックではなく、相互確認の場なのです。
したがって、社員は「会社が合わない」と感じたら、試用期間中であっても退職できる自由があります。
ただし、試用期間とはいえ、労働契約は有効なので、無期雇用の場合は2週間の予告期間が必要になります。
一般的な試用期間は?
試用期間は3〜6か月が一般的です。
たとえば、営業や事務では3か月程度、エンジニアや研究職などは成果が出るまでに時間がかかるため6か月が設定されることもあります。
筆者の転職10回の経験では、ベンチャー、外資系は6か月のところが多く、日系大手はほぼ3か月でした。
不安に感じるかもしれませんが、6か月は必ずしも「やばい」わけではなく、会社の採用方針、職種の特性や育成計画に基づいた期間と言えます。
法的な枠組み
法律で試用期間の上限は定められていません。基準となるのは「雇用契約書」と「就業規則」です。
労働契約法第16条では「客観的に合理的で社会通念上相当な理由がなければ解雇できない」と規定されています。
つまり試用期間中でも、企業は自由に解雇できるわけではありません。
筆者自身、日系大手から外資系に転職した際に「試用期間は6か月」と言われましたが、契約書に試用期間中も待遇は不利にならないことや本採用の条件が明記されていたため安心できました。
逆に「雇用契約書に試用期間の延長に関する記載がない」場合は注意が必要です。
雇用契約書と就業規則の内容をしっかり確認することが最大の防御策です。
研修期間との違い
研修期間は「通常業務に入る前の学ぶ時間」、試用期間は「通常業務を評価される時間」。両者は目的も扱いも異なります。
研修期間は、新入社員研修や中途入社者研修のように業務に必要なスキルを習得することが目的です。
場合によっては研修期間の給与が低めに設定されることもあります。
いっぽう、試用期間は「実際の働きぶりを見て本採用にするかを判断する」ことが目的です。
試用期間も給与が低めに設定されることもありますが、実務の労働を提供していることから、研修期間よりは少ないケースと言えるでしょう。
例えるなら、研修期間=自動車教習所の教習と実技練習、試用期間=仮免許の一般道での走行。
試用期間は学ぶ場ではなく、実際の運転が評価対象になります。混同してしまうと「試用期間は給料が低い」と誤解するので注意が必要です。
企業が6か月で見る評価軸
企業は試用期間の6か月の間に「能力+姿勢+適応力」を総合的に判断します。
具体的な評価ポイント:
- スキル面:業務遂行力、専門知識の活用度
- 適応力:社風やルールに馴染めるか
- 勤務態度:遅刻・欠勤・勤怠の安定性
- 協働力:上司や同僚と円滑に連携できるか
- 再現性:過去の経験を活かして成果を安定して出せるか
これまでの筆者の転職経験では、最初の6か月で「会社の文化を理解し、専門性を発揮して求められるタスクを安定的に処理できるか」といったポイントが評価対象になることが多かったです。
つまり、6か月という期間は「継続的かつ安定的に成果を出す人材か」を測るために存在しているのです。
📌 「6か月を選ぶ企業の背景」と「求職者のメリデメ」総まとめ
「試用期間が6か月」と聞くと不安に感じる人も多いですが、実は企業側には理由があります。
じっくりと時間をかけて評価したい、ミスマッチを防ぎたい、評価の妥当性を高めたい…などが背景です。
いっぽう、求職者にとっても「慣れる余裕がある」というメリットがある反面、「待遇が低い」、「本採用までの期間が長い」などのデメリットも。
ここでは以下の5点を整理して解説します。
- 企業側の背景
- 企業のメリット/デメリット
- 求職者のメリット/デメリット
- 未経験・職種転換で6か月が選ばれやすい理由
- 「やばい」シグナルと健全な運用の見分け方
企業側の背景
企業が6か月の試用期間を設けるのは、採用の失敗を防ぎ、採用コストを回収し、適性をより正確に判断するためです。
企業にとって採用は大きな投資です。
求人広告費、面接にかける人件費、入社後の教育研修…短期間で「ミスマッチ退職」されてしまうと、これらすべてが損失になります。
そのため、より長めの試用期間を設け、「育成に見合う人材か」をじっくり判断するのです。
たとえば、筆者がベンチャーのゲーム会社に転職した際は、最初の半年は「カルチャーフィット(上司・同僚との相性)」と「契約交渉の再現性」が評価軸でした。
3か月では偶然うまくいったり、いかなかったりすることもあるため、6か月で「安定した成果を出せるか」を確認したのです。
つまり、より妥当な評価をするために6か月の期間を設定することがあるのです。
企業のメリット/デメリット
6か月の試用期間は企業にとって「見極め精度が上がる」というメリットがある一方、「採用スピードが落ちる」、「教育コストが増える」というデメリットもあります。
メリット
- 長期的なパフォーマンスを確認できる
- 短期的な成果だけで判断しなくて済む
- カルチャーフィットや人間関係の安定性を観察できる
デメリット
- 求職者から敬遠されやすい
- 本採用までに時間がかかるため、即戦力を求めるポジションには不向き
- 教育やOJTコストがかさむ
筆者の経験でも、日系企業は「人材を育てる」という発想で見極めることが多く、外資系では「その期間のアウトプット・成果」を見極める傾向がありました。
つまり、6か月=どんな会社でも安心・危険、ではなく企業文化や人材戦略が大きく影響するということです。
いっぽう、「なんとなく長いに越したことはないから6か月」としている会社は要注意で、そのような会社には後述する対処法が必要になります。
求職者のメリット/デメリット
求職者にとっては「時間をかけて慣れられる」メリットがある一方、「待遇の低さや不安が長引く」というデメリットがあります。
メリット
- じっくりと仕事に慣れることができる
- 社風や人間関係を観察できる
- 研修やOJTを長く受けられる
デメリット
- 本採用までの不安が続く
- 試用期間は給与が低く設定されている場合がある
- 「お試し期間」としてプレッシャーを感じやすい
「6か月」は本採用までの期間と考えると長くて不安になるかもしれませんが、「成果を出す」という点では、3カ月ではなく6か月待ってもらえると考えることもできます。
結論として、受け止め方は企業文化と本人の状況によって変わるということです。
未経験・職種転換で6か月が選ばれやすい理由
未経験や職種転換のケースでは、育成や評価に時間がかかるため、6か月が選ばれる傾向があります。
たとえば、営業から人事へ転職したケースを考えてみましょう。
未経験の職種において、3か月で成果を求めるのは現実的ではありません。
人事の仕事は、採用計画、労務対応、制度設計など長期のプロセスが多いため、半年ほど観察する必要があります。
筆者がエンタメ業界のライセンス職に転職した際も、案件のサイクルが長く、半年経ってようやく成果が可視化されるようになったこともありました。
つまり、専門性の習得やプロジェクトの完結に時間がかかる職種では6か月が必要となる場合もあり、不安に思う必要はありません。
「やばい」シグナルと健全な運用の見分け方
「健全な6か月」と「やばい6か月」を見分けるポイントは、雇用契約の内容とサポート体制にあります。
健全な運用の特徴
- 契約書に試用期間の期間や待遇が明記されている
- OJTや研修、定期的なフィードバックがある
- 評価基準がオープンに説明される
やばいシグナル
- 契約書に「延長の可能性あり」とだけ書かれ、基準が曖昧
- 入社後のサポート体制がなく放置される
- 求人票と実際の待遇が大きく違う
筆者が勤務していた試用期間6か月の会社で、明確なフィードバックがないまま試用期間が終了し、さらに6か月延長された同僚がいました。
他人事ながら、このような会社の対応にはかなり不信感を覚えました。
結論として、最初の段階で契約内容と体制を確認し、不安を感じたら人事部門、転職エージェントや労働相談コーナーに相談することが重要です。
📚 試用期間中の待遇とルール
試用期間中でも正社員とほぼ同じ労働基準が適用されます。ただし、給与、有給休暇の付与、本採用に関してルールが存在します。
転職を安心して判断するには、以下の6つのポイントを押さえておきましょう。
- 給与の扱い
- 社会保険の加入義務
- 有給休暇の付与基準
- 雇用契約書・就業規則の必読ポイント
- 本採用後の条件変更の可否
- 試用期間の延長要件
① 給与の扱い
試用期間中の給与を本採用より低く設定することは可能ですが、最低賃金や残業代の支払いには法令の基準が適用されます。
企業・職種によっては、試用期間は「見習い的な位置づけ」として月給が数千円〜数万円低いケースがあります。
ただし、これは法律違反ではなく、労働基準法に違反しない範囲であれば認められるのです。
注意点は以下のとおりです:
- 最低賃金(地域ごとに設定)を下回ることは不可
- 残業代は試用期間中でも100%支払う義務あり
- 成果報酬型のインセンティブも、条件が契約書に記載されていれば支払対象
つまり、本採用後の給与よりも少し低い設定はあり得るが、違法に安く働かされることはありません。
②社会保険の加入義務
試用期間中でも、社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)は条件を満たせば加入が義務です。
「試用期間だから社会保険に入れない」と言われたら要注意。実際には、入社初日から加入義務が発生する場合が多いです。
加入条件は以下のとおり:
- 健康保険・厚生年金:常時雇用者(フルタイム)の4分の3以上の勤務時間
- 雇用保険:週20時間以上勤務、31日以上の雇用見込み
「試用期間だから社会保険なし」は違法の可能性が高いので、契約書や入社時の手続きで必ず確認しましょう。
③有給休暇の付与基準
有給休暇は「6か月継続勤務+所定労働日の8割以上出勤」で10日間付与されることが法律で決まっています。
労働基準法では「継続勤務6か月、出勤率8割以上」で有給休暇を付与することが義務とされています。
継続勤務には試用期間も含まれますので、「試用期間が6か月」だと、有給休暇が発生するのは試用期間終了とほぼ同じタイミングになります。
例を挙げると:
- 4月1日入社 → 9月30日まで試用期間 → 10月1日に有給休暇10日が付与
- 6か月未満(9月30日まで)で退職 → 有給は付与されない
会社が、6か月を経過する前に有給休暇を付与することは認められていますので、会社によっては入社日に付与されることもあります。
結論として、法律上の有給は試用期間も含めて入社後6か月後だが、会社の方針で早期付与する会社もあるという点を知っておくと安心です。
④雇用契約書・就業規則の必読ポイント
6か月の試用期間を安心して過ごすには、雇用契約書と就業規則の4つのポイントを確認することが必須です。
確認すべき4つのポイント:
- 期間:試用期間が何か月か、延長の有無が明記されているか
- 評価基準:何をもって本採用とするか(勤怠・業務スキルなど)
- 待遇の違い:給与・賞与・福利厚生の差があるかどうか
- 更新条件:延長や本採用拒否の可能性とその条件
筆者が過去に遭遇したケースでは、「延長あり」とだけ書かれ、延長の条件や評価基準が曖昧だったため、転職エージェントを通じて明確にしてもらったことがありました。
曖昧な契約はトラブルの元。必ず契約段階で質問・確認することが大切です。
⑤本採用後の条件変更の可否
本採用後に一方的に不利益な条件に変更することは原則不可。労働者の同意が必要です。
たとえば、あらかじめ「試用期間中は月給25万円、本採用後は28万円」となっていれば問題ありませんが、「本採用後に25万円から22万円へ下がる」といった不利益変更は違法の可能性が高いです。
試用期間は、雇用契約の中で、本採用を前提にして本人の能力を評価するための期間に過ぎません。
労働基準法では「不利益変更は労働者の同意が必要」とされていますので、条件が下がる場合は必ず同意が必要。納得できない場合は署名せず交渉するのが正解です。
⑥試用期間の延長要件
試用期間の延長が認められる要件をチェックしておきましょう。
延長が認められるケースは以下のような場合です。
- 合理性:病気や休職で評価が十分にできなかった
- 合意:本人が試用期間の延長に同意
- 手続:就業規則や契約書に延長のルールが明記されている
- 延長期間:延長される期間が妥当であること
いっぽう、「何となく不安だから延長」といった理由では違法の可能性があります。
試用期間の延長には一定の要件が必要。合理的な理由と従業員の合意がなければ無効の可能性があると理解しましょう。
👩🔧 トラブル別の対処フロー
6か月の試用期間は正しく運用されれば安心できる制度です。
しかしながら、「本採用拒否」、「一方的な延長」、「求人内容との相違」、「社会保険未加入」、「残業代未払い」などのトラブルが起こり得ます。
冷静にトラブルに対処するためには、証拠を残し、正しい相談先を活用することが大切です。
ここでは代表的なトラブルと対応フローを整理します。
- 本採用拒否・解雇の判断基準
- 一方的な延長提示への対応
- 雇用契約と実際の条件の不一致
- 最低賃金未満・残業代未払い
- 相談先のリスト
- 保存しておくべきエビデンス
本採用拒否・解雇の判断基準
試用期間中でも、解雇は「客観的合理性」と「社会的相当性」が必要であり、企業が自由に本採用を拒否できるわけではありません。
法律上、試用期間後の解雇は、通常の解雇と比較してやや認められやすい位置づけですが、完全に無制限ではありません。
判例でも、本採用の拒否は「客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要」とされています。
具体的には、以下のような場合が対象になります。
- 業務遂行に著しく支障がある(例:職務に必要な基礎スキルが明らかに欠如)
- 勤怠が極めて悪い(遅刻・欠勤の常習など)
- 経歴詐称が発覚
一方で「上司とそりが合わない」、「期待外れ」という曖昧な理由では解雇は無効となる可能性があります。
解雇の可否は企業の一存ではなく、法的な基準(合理性と相当性)で判断されます。
一方的に試用期間の延長を提示されたとき
試用期間の延長は「合理性・合意・手続き」がなければ無効です。一方的な延長に対しては必ず根拠を確認し、記録を残したうえで交渉しましょう。
延長が認められるのは「病気で十分に勤務できなかった」、「事前に設定していた評価の基準がまだ満たせていない」など合理的理由がある場合に限られます。
試用期間の延長を提示されたときの対応ステップ:
- 根拠の確認:延長の理由と就業規則・契約書の記載内容を確認
- 記録を残す:メールや議事録を残して証拠化
- 是正の交渉:不合理な要求だと感じたら「法的に無効の可能性がある」と指摘
たとえば、「担当の案件が停滞しているから延長」と言われた場合、契約書に延長の規定がなかったり、停滞した理由が本人になかったりした場合、交渉で「延長は無効」と認めさせることも可能です。
延長は必ず正当な理由と合意が必要であり、記録を残すことで不利な状況を避けられます。
雇用契約と実際の条件の不一致
雇用契約と実際の条件が違う場合は労働基準法違反の可能性があり、証拠を確保して交渉・請求ができます。
よくある例は「雇用契約では月給30万円と書いてあったが、実際は25万円」、「完全週休2日とあったのに、実際は隔週土曜出勤」などです。
対応ステップ:
- 証拠の保全:求人票、面接時のメール、契約書を保存
- 不一致部分の指摘:人事に「〇〇の部分が雇用契約の内容と違う」と指摘
- 条件の是正請求:会社が応じない場合は労働局や労基署へ相談
求人と実態が違えば泣き寝入りせず、証拠を基に是正を求めることが可能です。
最低賃金未満・残業代未払い
最低賃金を下回る給与や残業代未払いは明確な違法行為です。証拠をもとに請求し、改善されなければ行政機関への相談や法的手段を検討しましょう。
対応ステップ:
- 確認:自分の時間給が最低賃金(地域ごとに設定)を下回っていないか確認
- 請求:未払い残業代を計算し、会社に請求
- 労基署に相談・法的手段:改善されなければ労働基準監督署に相談
たとえば、東京の最低賃金は1,226円になっています(※2025年10月17日現在)。月給を労働時間で割って下回っていれば違法です。
最低賃金・残業代は試用期間中でも適用されます。違反が疑われる場合はすぐに確認して相談しましょう。
試用期間に関するトラブル:相談先のリスト
試用期間に関するトラブルは「社内→行政→専門家」と段階を踏んで相談するのが最も効果的です。
主な相談先:
- 社内窓口:人事・コンプライアンス相談窓口
- 労働局:あっせん制度による解決
- 労基署:労働基準法違反の是正指導
- 総合労働相談コーナー:労働問題を無料で相談することが可能
- 弁護士:損害賠償や訴訟を視野に入れる場合
トラブルは一人で抱え込まず、段階的に相談先を使い分けることが重要です。
保存しておくべきエビデンス
トラブル時に必要なのは「証拠」です。契約書・就業規則・勤怠記録・上司からの指示メールは必ず保管しておきましょう。
具体的に残すべきエビデンス:
- 雇用契約書(試用期間・待遇・延長条件が記載)
- 就業規則(解雇・延長のルール)
- 勤怠記録(タイムカード、出勤簿、PCのログ)
- 上司からのメールやチャットの指示
- 求人票や面接時の説明資料
筆者も転職の際に、賞与の受給資格・時期に関する認識の相違がありましたが、転職エージェントとのメールのやり取りを残していたことで交渉を有利に進められました。
トラブルに対処するためには証拠・記録が重要。普段から意識して保存しておきましょう。
🗓 本採用を有利に進める30-90-180日計画と撤退基準
本採用に向けて試用期間の6か月を有効活用するには「30-90-180日の行動計画」を立て、評価基準を明確にし、成果を形に残すことが重要です。
また、試用期間中に不安を感じたら早めに相談や転職準備を並行して行い、退職の選択肢も計画的に検討する必要があります。
ここでは、試用期間中の業務の進め方や退職・転職の準備について説明します。
- 入社後30-90-180日の計画
- 評価基準の見える化
- 不安を感じた時の対応
- 退職の可否と円満退職の手順
- 納得されやすい退職理由
- 転職活動における説明のコツ
- 転職エージェントの活用でリスク最小化
入社後30-90-180日の計画
試用期間を有利に進めるには「段階的な行動計画」で成果と人間関係を積み上げることが最も効果的です。
具体的なステップ:
- 最初の30日:業務の理解、社内ルール・文化の把握、関係構築
- 31日-90日:小さな成果を出し、上司や同僚に見える形でアピール
- 91日-180日:継続的に成果を再現し、チームに不可欠な存在として認識される
たとえば、筆者が転職した際は、
「最初の30日で社内ツールを完全に使いこなす」
「90日目までに小規模な案件を完了」
「180日目までに重要な案件に参画する」
というマイルストーンを設定しました。
この計画を上司と共有することで、各マイルストーンでやるべきことを明確にでき、安心して動けました。
試用期間を6か月全体で捉えるのではなく、30-90-180日単位で区切ることが本採用に向けた評価の鍵です。
評価基準の見える化
試用期間中は「評価基準を明確にし、証拠・記録を残す」ことで不当な判断を防ぎ、有利に本採用につなげられます。
基準を明確にする方法:
- KPIの設定:売上目標、プロジェクト進捗、件数など具体的な数値を確認
- 進捗のレビュー:定期的に上司と面談を行い、自分の成長や成果を報告(必ずフィードバックをもらう)
- 証拠・記録の保存:メール、議事録、成果物を保存し、評価に活用できる形にする
この方法であれば、KPIが明確になり、成果を数字で示すことができます。また、これらのエビデンスを使えば本採用の交渉もスムーズになります。
つまり、定期的に上司からフィードバックをもらうことで、試用期間が終了するときにいきなり「本採用するレベルに達していない」という評価になることを避けることができます。
試用期間は「成果の見える化と証拠化」が安心につながるのです。
不安を感じた時の対応
不安を感じたら「相談」と「転職準備」を並行して行うことが、心の安定とリスク管理の両立につながります。
- 早期相談:上司や人事に「どこを改善すれば良いか」を確認し、フィードバックをもらう
- 静かな転職準備:同時に履歴書の更新や転職エージェントの登録を進め、最悪のケースに備える
筆者自身、エンタメ業界からヘルスケア業界に転職した際、試用期間中に「これまでの経験が活かせず、成果を思うように出せていない」と不安を感じた経験があります。
その際、上司に相談し改善策を実行する一方で、裏では転職エージェントと面談を進めていました。
その結果「安心して現職に集中できた」ことが大きなメリットでした。
試用期間中の不安は相談+転職準備で「二重の保険」をかけるのが賢い選択です。
退職の可否と円満退職の手順
試用期間中でも退職は可能ですが、円満に進めるには正しい手順を踏むことが重要です。
円満退職へのステップ:
- 上司とアポイントを取る:上司とアポイントを取り、落ち着いた場を設定する
- 口頭で意思表示:「一身上の都合で退職したい」と伝える
- 書面の提出:退職届を提出(会社指定のフォーマットがある場合も)
- 業務の引継ぎ:担当業務のマニュアル作成や後任への説明
期間の定めのない雇用の場合、民法では「14日以上前に退職意思を示せばよい」と規定されています。
いっぽう、勤務先の就業規則で「退職は1か月前に通知すること」とされていることもあります。
試用期間で退職するとはいえ、今後のキャリアのためにも丁寧に対応し、ネガティブな印象を可能な限り残さないことをおすすめします。
法的には2週間前の通知で可能だが、実務では1か月前を目安に円満退職を意識するのがベストです。
納得されやすい退職理由
退職理由は「自分の適応力」に絞ることで、相手に納得されやすく角が立ちません。
使いやすい例:
- 社風との不一致:「自分の働き方が社風と合わないと感じた」
- 業務の乖離:「想定していた業務内容と異なっており、力を発揮しづらい」
- 健康上の配慮:「体調とのバランスを考えた結果、退職を決意」
事実であったとしても、「上司との折り合いが悪い」という理由をそのまま言ったら退職手続きがスムーズに進まないリスクがあります。
円満退職のためには、退職理由では相手を責めず、「自分の事情にフォーカスする」のが正解です。
転職活動における説明のコツ
転職先との面接では「学び」、「適職の仮説」、「再発防止策」をセットで語ることで、マイナス印象を防げます。
面接で伝えるべきポイント:
- 試用期間で得られた学び:短期間でも業務スキルを習得できた
- 適職の仮説:自分はより裁量の大きい環境が向いていると感じた
- 再発防止策:今回の転職では企業研究を徹底してミスマッチを防ぎたい
筆者は、前述の転職先のヘルスケア企業を短期間で退職して、エンタメ業界に戻る決断をしました。
その転職活動において、「短期間で退職する」理由を問われましたが、自責思考で「なぜその企業では力を発揮できなかったのか」と「だからこそ得られた仮説」を強調したことで、前向きに受け止められました。
失敗を隠すのではなく、一貫性を持って学びと再発防止策を語ることが重要です。
転職エージェントの活用でリスク最小化
転職エージェントを活用することで、求人の精査や条件交渉、退職時のサポートが得られ、リスクを最小限にできます。
転職エージェントのサポート内容:
- 求人の精査:条件に合っていない案件を事前に排除
- 条件交渉:給与や試用期間の条件を代わりに交渉
- 退職のサポート:退職交渉で困った時のアドバイス
筆者は10回の転職で30社以上のエージェントを使いましたが、試用期間の不安を相談できたのは大きな安心材料でした。
転職活動では「入社前の条件交渉」が重要で、その場面で転職エージェントが頼りになりました。
不安があるなら自己完結せず、専門家の力を借りることが最も賢い方法です。
参考記事:自分に合った転職エージェントの選び方 30社使った筆者が失敗しないためのコツを徹底解説!
📖 まとめ
ここまで「6か月の試用期間」というテーマについて解説してきました。
試用期間が3カ月の会社があるなか、「6か月って長すぎない?」、「やばい会社なんじゃないの?」と不安に思うのは自然なことです。
ですが、10回転職してきた筆者の経験や、法律・判例の視点から見ても、6か月だから即アウトというわけではありません。
大切なのは「その会社がなぜ6か月に設定しているのか」、「契約内容や評価基準が明確かどうか」を確認することです。
6か月の試用期間は、じっくり仕事に慣れるチャンスでもあり、反対に不透明な契約や理不尽な運用があれば要注意のサインにもなります。
この記事で紹介した視点を持っていれば、不安に振り回されることなく、自分のキャリアを主体的に選べるはずです。
この記事のポイント
- 試用期間は3〜6か月が相場。6か月は職種や育成方針によって一般的な場合もある
- 給与は下がるケースがあるが、最低賃金・残業代・社会保険は試用期間中も適用される
- 延長や解雇には合理的理由が必要。曖昧な運用は「やばいサイン」
- トラブル時は証拠を残し、社内→行政→弁護士の順で相談
- 有利に進めるには30-90-180日計画を立て、成果と関係構築を着実に積み重ねる
この記事を読んだあなたには、求人票に「試用期間6か月」とあっても、冷静に判断できる基準が備わっています。
迷ったときは「6か月をどう活かすか」という視点で考えてみましょう。
この記事が、試用期間6か月に悩む方の参考になれば幸いです!
最後まで読んで下さりありがとうございました!
✏️ にぬきたまご
これまで主にエンタメ業界で10回の転職を経験。日系、ベンチャー、外資系に勤務。現在は11社目の企業で執行役員として勤務中。
【転職活動の実績】
- 転職回数:10回
- 応募:200社以上
- 登録転職エージェント数:30社以上
- 登録転職サイト:10社以上
これまでの転職活動の経験を活かして、2020年より転職ブログを運営。応募者の目線で転職活動のお役立ち情報を発信中。
X(Twitter):@tenshoku_sitara