「退職の理由、どう伝えれば角が立たないんだろう…?」
そんな悩みを抱えていませんか?
上司に言いづらい、面接ではどう答えるべきか、自分でも整理できていない——。
退職理由の「伝え方」は、転職活動の中でも特に難しいポイントのひとつです。 でも大丈夫です!
この記事では、10回の転職経験をもつ筆者が、失敗と成功の両方の経験を経て身につけた「ネガティブな印象を与えずに退職理由を伝えるテクニック」を、状況別・相手別にわかりやすく解説します。
「本音と建前の使い分け」
「しんどい理由の言い換え」
「上司・面接官・取引先への対応」
など、実践でそのまま使える例文や段取りも紹介します。
この記事を読み終えるころには、自信を持って退職を伝える準備が整っているはずです!
この記事の重要ポイント
- ネガティブな退職理由を好印象に変える伝え方
- 面接や上司、取引先など相手別の対応マナー
- 退職理由の例文・使える言い換えパターン
- 退職の切り出し方とベストなタイミング
- 退職日までにやるべき実務的チェックリスト
それでは退職理由の伝え方について順番に説明していきます!
👍 ネガティブな印象を与えずに退職理由を伝える基本ルール
退職を伝える場面は、社会人生活のなかでも特に気を遣うタイミングです。
筆者もこれまで10回転職しているにもかかわらず、いまだに退職を切り出すときは緊張してしまいます。
言い方ひとつで「今後も付き合いたい仲間」として送り出されるか、「無責任な人」として印象が悪くなるかが決まります。
筆者自身、これまでの転職の中で、良い伝え方ができたこと・できなかったことの両方を経験してきました。
そのような経験から、「嫌われずに」「円満に」退職を伝えるための6つのポイントを紹介します。
- ネガティブな本音はそのまま言わない
- 感謝+前向きな姿勢で締めるのが鉄則
- 「一身上の都合」では伝わらない?使い方の注意点
- ウソの理由はアリ?正直すぎてもダメな理由
- 伝える手段とタイミング:メール?対面?
- 退職理由が二転三転しないように準備する
ネガティブな本音はそのまま言わない
退職理由は本音でなくてもいい。ポジティブな表現に言い換えるのが鉄則です。
たとえば「上司のパワハラに耐えられなかった」「給料が低すぎて生活できない」といった理由が事実だったとしましょう。
しかし、事実だったとしても、それをそのまま伝えると、職場に悪い空気が流れたり、逆にあなたの評価が下がったりします。
【悪い例】
「正直、上司のやり方に我慢の限界が来ました。」
【良い例】
「これまでの経験を活かして、より自律的に働ける環境を目指したいと考えるようになりました。」
ネガティブな理由は「攻撃的」「感情的」と受け取られるリスクがあります。事実を否定せず、未来志向に言い換えましょう。
感謝+前向きな姿勢で締めるのが鉄則
感謝の一言を添えるだけで、印象は大きく変わります。
退職を伝えるとき、「この会社で良い経験をさせてもらった」「お世話になった人がいる」といった姿勢を見せることが、円満退職の第一歩です。
【例文】
「これまで多くのことを学ばせていただき、本当に感謝しております。その上で、さらなる挑戦が必要だと感じ、退職を決意しました。」
このように伝えると、感情的な対立を避けるだけでなく、退職後の人間関係も円滑に保つことができます。
筆者も実際に、感謝を伝えた上司から退職後に推薦文をいただいたり、リファレンスチェックに応じてもらったりしたことがありました。
「一身上の都合」では伝わらない?使い方の注意点
「一身上の都合」は便利だけど、抽象的すぎると誤解されやすい。
「一身上の都合により退職いたします」は退職届に書く定番の理由です。
しかし、上司に口頭で伝えると「何か隠しているのかな?」と不信感を抱かれる可能性があります。
【注意点】
- 書面での使用 → OK(法的にも問題なし)
- 面談での使用 → OKだが補足が必要
【改善案】
「家庭の事情があり、現在の働き方が継続できなくなってきたことが転職のきっかけです」など、背景を少し添えることで納得感が生まれます。
ウソの理由はアリ?正直すぎてもダメな理由
正直すぎると損。信頼を壊さずに、嘘をつかず「伝え方を工夫」することが大切です。
例えば、「より給料が高い会社から内定をもらったので辞めます」と正直に言うと、社内で意図しない形で噂になったり、引き止めにあったりします。
一方で「一身上の都合で…」と濁すのも不自然。
筆者の経験では、「嘘も方便」は成立しますが、「矛盾が出ない程度の建前」がベターです。
【OKな例】
「今後のキャリアを考える中で、〇〇の分野(現職にはないもの)でスキルアップしたいという思いで決断しました。」
【NGな例】
「現在の給料では厳しいです。」→ 会社に引き止め交渉の余地があると思われる
伝える手段とタイミング:メール?対面?
退職は必ず対面で伝える。タイミングは繁忙期を避けて早めに。
メールやチャットで済ませたくなる気持ちはわかりますが、円満退職を目指すなら、ビジネスパーソンとして誠実かつ丁寧な態度が大切です。
【理想の伝え方】
- アポイントを取り、静かな時間に話す
- まず「ご相談がありまして…」と切り出す
- 感謝+退職の意志を伝える
【NG例】
- 朝イチや繁忙期直前に突然切り出す
- チャットやメールで「辞めます」と一方的に連絡
- 上司以外に先に伝えてしまう
早めに伝えることで、引き継ぎも円滑に行えます。
退職の意思は対面で伝えるべきですが、意思表示をした証拠はメールやチャットで残しておくようにしましょう。
退職理由が二転三転しないように準備する
「退職理由」と「転職理由」の整合性を取っておくと、社内・社外で矛盾が生まれずに済みます。
上司には「家庭の事情」と伝え、親しい同僚には「上司のやり方に不満があった」などと、相手によって違った内容の退職・転職理由を伝えてしまうと、どこかで矛盾が生じて信頼を損なうリスクがあります。
【準備すべきこと】
- 社内向けと転職先向けで、筋の通った説明を用意
- 口頭、書面、面接、それぞれの場面に応じて微調整
- 本音・建前を使い分けつつ、一貫性を保つ
この事前準備があるだけで、各関係者にスムーズに一貫した説明をすることができ、安心して次のキャリアへ進むことができます。
💬 状況別・使える退職理由の言い換えパターンと例文集
退職理由は、伝える相手や状況によって使い分け・調整が必要です。
特に「本音」をそのまま言えない場面では、印象を悪くせず、かつ誠実に聞こえる言い換えが重要になります。
ここでは、筆者自身が10回の転職経験で実践してきた「使える退職理由の言い換えパターン」とその例文を、状況別にまとめました。
- キャリアアップ・転職を理由にする場合
- 家庭の事情(結婚・介護・引越しなど)の場合
- 健康上の理由で退職する場合
- 職場の人間関係・社風に悩んだ場合の伝え方
- 給与・待遇の不満を柔らかく伝える例
- 本当の理由を言いたくないときの「建前」例文
- 契約社員・派遣社員など契約満了のとき
キャリアアップ・転職を理由にする場合
前向きな姿勢を示すことで、相手に納得感と応援したくなる印象を与えられます。
キャリアアップを理由にする場合は、「成長したい」という姿勢を大切にしましょう。
たとえ本音に給与や職場不満があっても、「将来の目標に近づくため」という軸で伝えると自然です。
【例文】
「これまでの経験を活かしつつ、より〇〇の専門性を深められる環境に挑戦したいと考えるようになりました。」
また、現職で努力してきたことや感謝を添えると、印象がより良くなります。
【NG例】
「この会社ではスキルが身につかないので辞めます」→相手を否定する印象になる
キャリアアップは退職理由として一般的なものなので、理解してもらいやすいでしょう。
家庭の事情(結婚・介護・引越しなど)の場合
家庭の事情は角が立ちにくいが、説明は簡潔に留めるのがポイントです。
家庭の事情はプライバシーに関わるため、詳細を話しすぎず、しかし誠実に伝えるバランスが大切です。
特に介護や子育てなどは、社会的に理解が得られやすい退職理由です。
【例文】
「家族の健康上の事情により、現職との両立が難しくなったため、退職を決意いたしました。」
【よくあるケース】
- 引越しを伴う結婚
- 親の介護が必要になった
- 保育園の場所・時間が合わない
いずれの場合も、深掘りされないよう「適度な具体性」がポイントです。
健康上の理由で退職する場合
心身の不調を理由にする場合は、「再発防止」や「今後の配慮」に触れることで誠実な印象に。
病気やメンタル不調で退職する場合は、無理をせずに伝えることが大切です。
ただし、相手に心配をかけすぎないよう「回復に専念したい」「再発防止のための選択」と伝えるとスマートです。
【例文】
「体調面で継続勤務が難しくなり、一度しっかりと療養する必要があると感じております。」
【補足ポイント】
- 診断書の提出が必要な場合がある
- 転職活動の面接では「現在は回復している」「働く意欲はある」などを添えると好印象
体調面を理由にした場合、会社からは休職や異動をすすめられることもあります。
あらかじめ、これらが自分の中の選択肢になるのか検討しておきましょう。
職場の人間関係・社風に悩んだ場合の伝え方
直接的な不満・否定は避け、価値観の不一致としてやんわり伝えるのがベストです。
人間関係や社風の悩みは非常に多い退職理由ですが、ストレートに伝えるとトラブルの元になります。
会社や上司を否定するのではなく、「自分は合わなかった」といった言い換えが効果的です。
【例文】
「自分の価値観と会社の文化にズレを感じることが増え、自分らしい働き方を見直したいと考えました。」
【NG例】
「上司が嫌いで耐えられない」→関係悪化やスムーズに退職できないリスクが生じる
言い換え表現例:
本音 | 言い換え例 |
上司と合わない | 仕事の進め方の違い |
チームが合わない | 組織風土に馴染めなかった |
ハラスメント | 自分の健康や働き方を見直したい |
こちらがやんわりと伝えようした時、上司や人事からは深掘りされることもあります。
もし退職の意思が固まっている場合、詳細に答える必要はありません。
あまり具体的に答えてしまうと、会社が実態調査を行って退職交渉が長引くリスクがあります。
給与・待遇の不満を柔らかく伝える例
「将来的な展望が描けなかった」と言い換えることで、批判せずに退職理由を伝えられます。
給与や待遇の不満もまた多い理由ですが、「お金目当て」と思われると印象が悪くなることも。
将来の不安や成長機会と絡めて説明すると自然です。
【例文】
「今後のキャリア形成を考える中で、より成果に対する責任が問われる環境を求めたくなりました。」
退職交渉の目的は、不満を伝えることではなく、スムーズに退職することなので、ポイントは、「現職の待遇を否定せず」、「期待や将来像を軸にすること」です。
本当の理由を言いたくないときの「建前」例文
「一身上の都合」+「前向きな言い換え」で乗り切るのが最適解です。
どうしても本音を言いたくないときは、「建前」で逃げることも大切です。
適度にあいまいで納得されやすい言い回しを選びましょう。
【使える建前例文】
「将来的なキャリアの方向性を再考した結果、退職を決意いたしました。」
【よくある理由別の建前表】
本音 | 建前の言い換え |
ブラック企業だった | 自分の働き方を見直したい |
仕事がつまらない | より専門性が高められる仕事に挑戦したい |
人間関係が最悪 | 社風・職場環境に適応できなかった |
契約社員・派遣社員など契約満了のとき
契約満了は「予定・想定されていた退職」なので、そのまま伝えて問題ありません。
契約社員や派遣社員で働いている場合は、「契約期間満了のため」と正直に伝えるのが最も自然です。
特に問題がなければ、理由を深掘りされることも少ないです。
【例文】
「契約期間が満了し、次のステップとして新しい環境での挑戦を考えております。」
もし「満了後の更新を断った」場合でも、「次のステージに進みたい」という言い方であれば角が立ちません。
💪 面接・引き止めに備える退職理由:6つの応用テクニック
退職理由は、会社に伝えるときだけでなく、応用力が求められる場面がたくさんあります。
伝え方を間違えると信頼を大きく損ねたり、引き止められて退職時期が確定しなかったりするリスクも。
ここで紹介する6つのテクニックをぜひ押さえておきましょう。
- 面接でポジティブな退職理由の答え方
- 引き止められたときの上手な断り方
- 「しんどい」「つらい」をポジティブに変換する方法
- 転職先に合わせた「納得感ある」伝え方
- 「本音と建前」の切り替え練習をしておこう
- 退職理由から転職の軸を見つけるステップ
①面接でポジティブな退職理由の答え方
退職理由に「前向き」+「納得感」の要素があれば、ネガティブな印象にはなりません。
面接での退職理由は、ネガティブな話をそのまま言うとマイナス評価になります。
たとえば「今の仕事は自分に合っていないので辞めました」だと、「またうちでも同じ理由で辞めるのでは?」と思われかねません。
ポイントは、「前職での学び」+「次の職場で実現したいこと」をセットで語ることです。
【回答例】
「前職では業務効率の改善プロジェクトに携わる中で、〇〇の専門性を深めたいと感じるようになり、今後はその領域でキャリアを築きたいと考えています。」
【NG例】
「人間関係が原因でやめました。」→ 評価が一気に落ちる恐れあり。
②引き止められたときの上手な断り方
感謝+決意表明のセットで「もう決まっている感」を出すと、引き止めを回避できます。
引き止めにあったとき、感情的に断ると関係が悪化します。
逆に曖昧にすると、「もう少し条件よくするから残らない?」と交渉が始まってしまうことになりかねません。
【筆者の実体験】
初めての転職のとき、上司に「将来的に部署異動も検討するから」と言われて、退職時期がなかなか確定できなかったことがあります。
その経験から、「感謝+決意を伝える」型に変えたら、その後はスムーズに退職できました。
【例文】
「ご配慮いただき本当に感謝しておりますが、今後の方向性はすでに固めており、気持ちは変わりません。」
【伝え方のコツ】
- まずは感謝を伝える
- 気持ちは変わらないことを明言する
- 「転職先が決まっている」など事実を添えると説得力UP
③「しんどい」「つらい」をポジティブに変換する方法
「耐えられなかった」ではなく、「自分に合った働き方を見つけたい」でOK。
「仕事がしんどくて辞めたい」「もう無理」…
そんな気持ちで辞める方も多いですが、そのまま伝えると自己管理能力や適応力を疑われます。
本音が「つらかった」でも、面接や上司に対してはポジティブに変換しましょう。
【変換例】
本音(NG) | 言い換え(OK) |
業務量が多すぎて心身ともに限界だった | 自分にとって無理のないバランスで、より質の高い成果を出したいと感じた |
上司が理不尽だった | 自律性のある働き方ができる環境を目指したくなった |
職場の雰囲気が暗くて疲れた | 新しい環境の中でチャレンジしたいと考えた |
こうした言い換えは、「次にどうしたいか」までセットにして語るのがカギです。
④転職先に合わせた「納得感ある」伝え方
転職理由と志望動機に一貫性があれば、面接官は納得します。
たとえば「〇〇が向いていないので辞めました」と言っておいて、次も同じ職種を志望すると矛盾が生まれます。
大事なのは「過去の不満」ではなく、「次にどうなりたいか」と一貫して語ること。
【筆者の例】
エンタメ業界に転職したとき、「もっと海外との取引に関わる仕事がしたい」という転職理由が、応募先のグローバル企業という特徴とマッチして評価されました。
【例文】
「前職では営業の一部業務のみ担当していましたが、今後はクライアント対応から提案まで一貫して関われる環境で力を発揮したいと考えました。」
このように、「現状はこうだからこのポジションに応募した」という筋が通っていると強いです。
⑤「本音と建前」の切り替え練習をしておこう
伝える相手と場面に応じて、本音と建前を切り替えるスキルは「武器」です。
退職理由に「正解」はありませんが、「正直すぎる」と不利になる場面もあるのが現実です。
だからこそ、どこまで言うか、どう言うかの「事前整理」と「練習」が必要です。
【練習方法】
- 本音を書き出す
- 面接官・上司・知人に対してどう調整して伝えるか考える
- 説明に一貫性があるかチェックする
【例】
相手 | 本音 | 建前 |
上司 | 給料が低すぎ | 家計・生活設計とのバランスを見直したくて… |
面接官 | 給料が低すぎ | より成果が報酬に反映されるところで仕事にコミットしたい |
筆者も、これまでの転職活動の中で試行錯誤しながら表現を調整してきました。
説明できる建前を用意しておくことで、慌てず冷静に話せます。
⑥退職理由から転職の軸を見つけるステップ
過去の不満を深掘りすると、次に求めるもの=「転職の軸」が見えてきます。
ただ辞めるのではなく、「何が足りなかったのか」「次はどうありたいのか」を言語化することが、後悔しない転職につながります。
【ステップ形式】
- 辞めた理由・不満を書き出す
- それは自分にとってなぜ重要だったかを分析
- 次にその要素をどう満たしたい・変えたいかを考える
【例】
「残業が多すぎた」→「プライベートを重視したい」→「フレックス勤務や在宅可能な会社が希望」
こうした「軸」があると、求人選びも志望動機もブレませんし、面接で伝える時にも説得力が増します。
📩 上司・同僚・取引先へ…退職を伝える順番とマナー
退職の意思を伝えるときは、「誰に」「いつ」「どう伝えるか」で、印象やその後の人間関係に大きく影響します。
実際、筆者も過去に順番を間違えて気まずくなった経験があります。
この章では、円満退職を目指すために知っておきたい「伝える順番」と「伝え方のマナー」を具体的に解説します。
- 直属の上司には最初に伝える
- 同僚への報告は、上司への承諾後に
- 取引先には最終出社日の1〜2週間前を目安に
- メール・チャットで伝える場合の注意点
- 「競合へ転職」「あっさり受け入れられた」など特殊ケースの対応
直属の上司には最初に伝える
退職の話は「まず直属の上司」に伝えるのが最善です。
退職の第一報は、必ず直属の上司に伝えましょう。
たとえ、上司に不満があったり、人事部や経営陣と仲が良かったりしても、上司を飛び越えるのは絶対にNGです。
信頼関係にヒビが入り、残りの期間が居づらくなったり、引き継ぎに支障が出たりするリスクがあります。
【伝え方のポイント】
- いきなり切り出さず、「ご相談したいことがあります」とアポを取る
- 「〇〇日付で退職したいと考えています」と明確にスケジュールを示す
- 感謝を忘れずに伝える
- 最終出社日まで業務を全うする意思を伝える
【例文】
「お忙しいところ恐れ入ります。少しご相談させていただきたいことがありますので〇日に30分程お時間をいただけないでしょうか?」
上司に先に話を通すことで、社内の調整がスムーズになり、引き継ぎや評価にも良い影響を与えます。
同僚への報告は、上司への承諾後に
同僚に先に話すのは絶対に避けるべき。タイミングを誤ると「裏切り者扱い」されかねません。
退職が決まると、つい親しい同僚には先に話したくなりますよね。
ランチや飲み会で「ここだけの話だけど実は・・・」と話したくなる気持ちはとてもわかります。
でも、先に述べたとおり、上司の了承前に話すと退職のための引き継ぎや手続きがこじれるリスクがあります。
上司としても、メンバーが退職する場合、後任の採用や人員の再配置などもろもろ配慮しなければならない作業があるからです。
【退職を正しい流れ】
- 直属の上司に伝える
- 会社としての合意(退職日など)が決まる
- 上司の了承のもと、関係者に段階的に報告
【例文】
「実は、上司にお伝えして承認をいただいたのですが、〇月末をもって退職することになりました。」
筆者は、過去に仲の良い同僚に早まって伝えた結果、上司に退職を申し出たときに「噂で聞いているよ」と言われてかなり気まずい思いをしました…
順番は本当に大事です。
取引先には最終出社日の1〜2週間前を目安に
取引先には「急すぎず、早すぎず」がベスト。1〜2週間前がちょうど良いタイミングです。
取引先には、上司と相談の上で正式に退職が決まったあとに報告しましょう。
早すぎると社内事情が変わる可能性があり、遅すぎると迷惑をかけます。
【理想のタイミング】
- 最終出社日の1〜2週間前
- 重要な取引先の場合は、上司と伝えるタイミング・方法を相談
- 引き継ぎ担当者が決まった後に伝える
【伝える手段】
- 基本は電話または訪問
- メールでフォロー(文面例を下記に記載)
- 後任や引き継ぎの進捗を共有して業務に滞りがないことを説明
【例文(メール)】
「私ごとで恐縮でございますが、このたび○月○日をもちまして退職することとなりました。これまでのご支援に心より感謝申し上げます。
後任は〇〇が担当させて頂きますので今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。」
自分が担当から外れたあとも相手に迷惑がかからないよう、後任の連絡先や対応フローもセットで伝えるのがマナーです。
メール・チャットで伝える場合の注意点
退職の報告は、相手によってツールを使い分ける。重要な相手には対面またはオンラインを通じて口頭で伝えるのが基本です。
最近はチャットやメールがコミュニケーションツールとしてよく使われますが、退職の時は配慮が必要です。
重要な相手には誠意を見せるべき場面なので、きちんと会話することが理想的です。
【正しい使い方】
- 対面 or オンライン面談で伝えたあと、フォローとしてビジネス文書としてメールを送る
- 退職日や引き継ぎ計画の共有にはメールは有効
【例文】
「本日ご報告させていただきました通り、〇月末での退職を予定しております。詳細な引き継ぎ内容については別途メールにてお送りしますのでご確認頂けますと幸いです。」
「競合へ転職」「あっさり受け入れられた」など特殊ケースの対応
特に慎重な対応が求められるケースでは、感情を出さず、事実だけを淡々と伝えるのが鉄則です。
【ケース1:競合他社への転職】
- 転職先の社名は言わない・言う必要もない
- 社名を伝えると情報の持ち出しなど無用に警戒されるおそれもある
【例文】
「企業名についてはご容赦いただきたいのですが、次のキャリアに向けての挑戦として転職を決めました。」
【ケース2:上司があっさり了承した】
- 拍子抜けしても感情を出さない
- 「この人はいつか辞める」と思われていた可能性あり
- 最後までプロ意識をもって業務に取り組む
私の体験談:
外資系で辞めることを伝えたら「了解しました。引き継ぎは〇〇さんにお願いします。」とあっさり終わったことがありました…。
でもその後の引き継ぎで評価していただき、その後のリファレンスチェックに対応してもらえたこともあります。
最後まで業務に真摯に取り組む姿勢が大切だと実感しました。
🗓 退職を切り出すベストタイミングと段取り
退職は「いつ」「どう切り出すか」で、その後の人間関係も引き継ぎの円滑さも変わります。
特に在職中の転職は、計画性がないと退職時期がズルズル伸びてしまい、転職先に迷惑をかけたりすることになりかねません。
ここでは、後悔しない退職のための具体的な段取りとタイミングを整理します。
- 退職の申し出は1〜2カ月前が基本。早めの行動がカギ
- 繁忙期や他の退職者と重ならないよう配慮する
- 就業規則と有休の残日数は必ず確認
- 明確な退職希望日を設定する
- 退職願はどのタイミングで提出すべきか
- 引き継ぎ・業務整理のスケジュールを立てる
退職の申し出は1〜2カ月前が基本。早めの行動がカギ
円満退職のために退職を切り出すのは「最短でも1カ月前」、できれば「2カ月前」が理想です。
民法第627条では、正社員であれば「2週間前に申し出れば退職可能」とされています(※有期契約の場合を除く)が、実際にはそれでは業務の引き継ぎが間に合いません。
また、有給休暇の残り日数によってはもっと早めに対応する必要があります。
【基本目安】
- 社内規定を確認:1〜2カ月前(多くは1カ月)
- 引き継ぎ対象が多い職種(管理職、営業、プロジェクトリーダー)ほど余裕をもつ
- 管理職の場合は、もっと早めに申し出ることがおすすめ
筆者の場合は、今後のキャリアのためにも、可能な限り現職と良好な関係を維持すべきだと考えています。
従って、退職日の3カ月以上前には申し出るようにしています。
繁忙期や他の退職者と重ならないよう配慮する
繁忙期や同時期の退職者とのバッティングは避け、職場への影響を最小限にすることが重要です。
法的には2週間前の申し出で十分でも、チームや顧客に負担がかかると、今後のキャリアのための円満退職とは言えません。
特に「同じ時期に複数名が辞める」「繁忙期に退職する」といったケースでは、これまでの貢献にかかわらず評価を下げることになりかねません。
【チェックすべきポイント】
- 社内の人員計画・繁忙期
- チームメンバーの休暇の予定
- 上司や後任の採用状況
筆者の場合は、年末、会計年度末(半期)を避けて退職時期を調整したことが多かったです。
就業規則と有給休暇の残日数は必ず確認
退職日と有給休暇消化計画は、就業規則と残日数を確認した上で計画すること。
「退職する」と決めても、実際にいつまで働くかは、有給休暇の残り日数や会社の就業規則によって変わってきます。
有給休暇を全部消化したいなら、退職願を出すタイミングも逆算が必要です。
【確認すべき項目】
- 有給休暇の残日数(勤務表や給与明細で確認)
- 就業規則に定める「退職申告期限」
- 業務に引き継ぎに必要な日数
たとえば、有給休暇が15日残っていて、業務の引き継ぎに2週間必要な場合、最終出社日を退職日から5週間前に設定しておくとスムーズです。
注意:
労働基準法により、会社は原則有給休暇の取得を拒否できません。これは退職時であっても同じです。
ただし、円満退職には会社に対する最低限の配慮は必要になりますので、早めの相談を心がけましょう。
明確な退職希望日を設定する
退職日と有給休暇消化計画は、就業規則と残日数を確認した上で計画すること。
曖昧に「来月あたりで退職させて頂きたいと考えておりまして…」と言うと、上司や人事が、「引き止めよう」、「先延ばしにしよう」という動きになりかねません。
最初の段階で「この日で退職したい」と明確に伝えておくと、話が具体的に進みます。
【ポイント】
- 〇月よりも「月末」や「〇日付」が分かりやすい
- 最終出社日+有給期間を考慮した日程で設定
- 勤怠や経費精算等の締め日も確認
退職届はどのタイミングで提出すべきか
退職届の提出は「上司に口頭で了承を得た後」がおすすめ。
まず、「退職届」と「退職願」の違いは以下のとおりです。
退職願:会社に退職したい意思を伝える書類(承諾前であれば撤回可能)
退職届:会社に退職を通告する書類(原則として撤回不可)
会社の就業規則によっては、会社指定の書式で退職願を提出することになっている場合もあります。
まずは会社の就業規則や規程を確認してみましょう。
そのうえで、まずは上司に自分の意思を伝えて、正式な書類を提出しましょう。
筆者の場合は、まずは上司との面談を設定して退職の意思を伝え、面談後に退職願を提出するパターンが多いです。
引き継ぎ・業務整理のスケジュールを立てる
引き継ぎを計画的に行うことが、「去り際の印象」を決めるカギになります。
どんなに立派な業績を残していても、引き継ぎが雑だと「無責任な人だった」という印象が強く残ってしまいます。
転職が決まると、どうしても転職先のことに心が移ってしまいそうになりますが、最後の業務として引き継ぎを完了させましょう。
【引き継ぎ段取りの例】
- 引き継ぎ対象業務を洗い出す
- 担当者ごとにToDoを明確化
- 口頭+マニュアルでの引き継ぎ
- 最終週に「全体レビュー」の時間を取る
会社によって、引き継ぎ書のフォーマットが指定されている場合があります。
また、上司や後任の担当者の完了承認が必要な場合もあります。
引き継ぎの方法については、上司と確認して進めるようにしましょう。
✅ 円満退職に向けてやるべきことチェックリスト
退職を伝えてから最終出社日までは、ビジネスパーソンとしての「仕上げ」の期間です。
引き継ぎ・挨拶・手続きなどをきちんと済ませることで、退職後に「あの人は辞め方までスマートだった」と好印象を残せます。
- 引き継ぎ資料と業務の整理を徹底する
- 有給休暇の計画的な取得
- 健康保険・年金・住民税などの手続きを忘れずに
- 会社貸与物の返却と最終日までの対応
- 挨拶文・お礼メールの準備とマナー
引き継ぎ資料と業務の整理を徹底する
退職後の「評価」は、引き継ぎの丁寧さで決まります。資料化と共有は必須です。
引き継ぎとは、「誰が見ても自分の仕事を代わりにできるようにすること」。
それを文字や図で残す「引き継ぎ資料」があると、受け取る側のストレスが激減します。
【最低限のチェック項目】
- 日々の業務フロー
- 未完了案件の進捗と経緯のまとめ
- 関係者の連絡先(取引先やチームメンバー)
- 注意点・トラブル時の対処法
【筆者の工夫】
私はいつもGoogle スプレッドシートで引き継ぎリストを作り、関連する資料へのリンクも入れていました。
有給休暇の計画的な取得
有給は「権利」。でも使い方を間違えるとネガティブな印象を残します。
有給休暇を退職時にまとめて取得する人は多いですが、業務の引き継ぎ期間との調整が必要です。
【計画のポイント】
- 有給残日数を事前に確認(人事部へ確認・勤怠システム等)
- 引き継ぎに必要な期間を確認
- 最終出社日と退職日を分けて設定
前述のとおり、会社が有給取得を拒否することは原則できません。
ただし、「時季変更権(じきへんこうけん)」という権利により、業務上どうしても差し支える場合は時期をずらすことを求めることが可能です。
健康保険・年金・住民税などの手続きを忘れずに
退職後の「手続き漏れ」はトラブルのもと。必ず退職前に準備しましょう。
退職後の社会保険や年金、税金の処理は自己責任。
特に退職後にブランクが発生する場合は要注意です。
在職中または退職後に人事部から必要な書類を受け取り、市区町村へ届け出ましょう。
【退職後に必要な手続きまとめ】
手続き内容 | 対応先 | 注意点 |
健康保険の切替(任意継続 or 国保) | 健康保険組合 or 市区町村役所 | 国保への切り替え:14日以内
任意継続:20日以内 |
年金の切替(厚生年金→国民年金) | 市区町村役所 | ブランク期間がある人は特に重要 |
住民税の納付方法 | 市区町村役所から納付書が送付 | 一括 or 普通徴収に変更されることがある |
失業手当(保険)の受給手続き | ハローワーク | 会社に離職票の発行を依頼 |
会社貸与物の返却と最終出社日までの対応
「辞めるから関係ない」はNG。最終日まで誠実に行動することで、信頼関係を維持できます。
意外と見落としがちなのが、PC・スマホ・社員証・名刺・鍵など、会社から支給された物品の返却です。
最終出社日に慌てないよう、余裕をもってリストアップしておきましょう。
【返却すべき主な貸与物】
- 機器・備品:PC、モニター、スマホなど
- 社員証・入館証・セキュリティカード
- 名刺・社章・印鑑類
- オンラインツールのアカウント(引き継ぎを含む)
【対応の流れ】
- 返却物チェックリストを作る(会社指定の書式の場合もあり)
- 上司、人事・総務と確認
- 口頭でのお礼を忘れずに伝える
挨拶文・お礼メールの準備とマナー
最後の印象を決めるのは、あなたの言葉。丁寧な挨拶が心に残ります。
退職の挨拶メールは、社内だけでなく取引先や関係部署にも送ることが多いです。
形式ばりすぎず、でもカジュアルすぎず、相手によって感謝の気持ちが伝わる文章を心がけましょう。
【社内向けメールの構成例】
- 退職のご報告
- お世話になったことへの感謝
- 今後の連絡先(伝えることをおすすめします)
- 締めの言葉
【例文(社内向け)】
お世話になった皆様へ
〇〇部の〇〇です。BCC送信にて失礼いたします。
私事で恐縮ですが、このたび一身上の都合により〇月〇日をもって退職することとなりました。
本日が最終出社日となります。
本来であれば直接ご挨拶すべきところ、メールによるご連絡となり誠に申し訳ございません。
在職中は多くのご指導・ご支援をいただき、心より感謝しております。この会社での貴重な経験を今後のキャリアでも活かし、精進して参ります。
なお、私の退職後の連絡先は以下の通りです。
メールアドレス:
電話番号:
最後になりましたが、皆さまのご健康とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
今まで本当にありがとうございました。
【マナー】
- 一斉送信の場合、Toは自分、送信先はBCCに
- 送信タイミングは最終出社日の午前〜昼までがベスト
- ネガティブなことは書かない
📝 まとめ|退職理由の伝え方は「方法・言い方」で変わる
退職理由は、人によって本当にさまざま。でも「どう伝えるか」で、その印象はガラッと変わります。
直接的すぎれば角が立つし、曖昧すぎると不信感を招く——。だからこそ、自分の想いを上手に言葉にする工夫が大切です。
この記事では、筆者が10回の転職経験を通して得たノウハウをもとに、退職理由の伝え方について状況別に詳しく解説しました。
本記事のまとめポイント
- ネガティブな本音はそのまま言わず、前向きに言い換える
- 面接・上司・同僚・取引先など、相手ごとのマナーを意識
- 「一身上の都合」や「建前」も上手に使い分ける
- 退職の切り出しは1~2カ月前が理想。繁忙期は避ける
- 引き継ぎ・有給休暇の取得時期・各種手続きなど、退職前の準備も忘れずに
- 最後の印象を決めるのは、感謝の気持ちと引き継ぎの姿勢
今の会社の退職は、長いキャリアの通過点にすぎません。
だからこそ、退職時の伝え方や引き継ぎは計画的に対応する必要があります。
せっかくなら、退職時の伝え方でポジティブな印象を残し、今の会社での人間関係や経験を今後の大事な資産にして活用しましょう!
この記事が、あなたの退職・転職が円満で前向きな一歩になるヒントになればうれしいです。
また次の記事でお会いしましょう!
✏️ にぬきたまご
これまで主にエンタメ業界で10回の転職を経験。日系、ベンチャー、外資系に勤務。現在は11社目の企業で執行役員として勤務中。
【転職活動の実績】
- 転職回数:10回
- 応募:200社以上
- 登録転職エージェント数:30社以上
- 登録転職サイト:10社以上
これまでの転職活動の経験を活かして、2020年より転職ブログを運営。応募者の目線で転職活動のお役立ち情報を発信中。
X(Twitter):@tenshoku_sitara