
「せっかく転職したのに、思っていたのと違うかも…」
転職して3ヶ月。仕事にも環境にも少しずつ慣れてきたはずなのに、なぜかモヤモヤが止まらない——。
そんな違和感を抱えてこの記事にたどり着いたあなた、実はとてもよくあることなのでご安心ください。
筆者はこれまでに10回転職してきましたが、実際に転職後3ヶ月が経過した頃に「この転職は失敗だったかも」と感じたことは何度もあります。
でも、この「壁」は決してあなたがダメなわけでも、転職に失敗したからとは限りません。
本記事では、
- なぜ3ヶ月目に「辞めたい」と思うのか
- 辞める・続けるをどう判断するか
- 転職3カ月の壁を乗り越える7つの行動
を紹介しながら、3ヶ月の壁について具体的に解説します。
また、30代・40代・50代別のつまずきポイントや対処法もまとめているので、あなたの年齢・立場に合わせたヒントがきっと見つかるはず。
読み終えたころには、「この壁は、成長のチャンスかもしれない」、「今回の失敗を次の機会に活かそう」と思えるようになりますよ!
それでは、順番にみていきましょう。ぜひ最後までお付き合いください!
😣 転職3ヶ月の壁とは?誰もが感じる違和感の正体
転職してしばらくすると、
「思っていたのと違った…」
「前の会社の方が良かったかも…」
と感じ始めることがあります。
とくに入社後3ヶ月目は、入社時の緊張感や高揚感が薄れ、職場や仕事のリアルな部分が見えてくるタイミング。
これが『転職3ヶ月の壁』と呼ばれる所以です。
ここではその違和感の正体を4つに整理して紹介します。
- なぜ「3ヶ月目」に違和感や不安が強くなるのか
- 環境・人間関係・業務への適応
- 入社前の期待とのギャップに悩む理由
- 能力不足・低評価・前職との比較による自己不信
なぜ「3ヶ月目」に違和感や不安が強くなるのか
3ヶ月目は「慣れ」と「現実」がぶつかる時期。仕事の全体像が見えてきて、自分の立ち位置や周囲との違いに気づき始めるからです。
転職してからの3ヶ月は、以下のような流れになります。
時期 | 心理・行動の傾向 |
1ヶ月目 | 緊張と期待が入り混じる/教わることが多い |
2ヶ月目 | 基礎的な仕事を任され始める/本音の人間関係が見え始める |
3ヶ月目 | 仕事の全体像が見えてくる/評価を意識する/ギャップや不安が増える |
この「3ヶ月」という時期には、以下のような心の動きが起こりやすくなります。
- 仕事のスピードや質についていけるか不安になる
- 教わるばかりで「貢献できていない」と感じる
- 周囲とのスキルの差に気づいて自己評価が下がる
- 入社前とのギャップを感じ始める
たとえば、筆者がかつて転職した外資系企業では、2ヶ月目までは「新しい挑戦ができている」という高揚感があったのに、3ヶ月目に「ここで自分が貢献できることって本当にある?」という違和感をもちはじめました。
入社後しばらくは気づかない「ズレ」が、ちょうど3ヶ月目に表面化してくるのです。
環境・人間関係・業務への適応
職場環境・文化・人間関係に馴染めないことで、孤独やストレスが生まれやすくなります。
職場の「雰囲気」や「暗黙のルール」は、求人票や面接では見えにくく、入社後に実感する要素です。
たとえば、
- マニュアルにないルールや部門独自のしきたりがわかりにくい
- 会議で求められる発言・姿勢が前職と全く違う
- 業務外のイベント・付き合いが多い(または少ない)文化に戸惑う
こうした職場の「文化的な違い」に馴染めないと、「なんだか自分だけ浮いている気がする」と感じやすくなります。
また、転職先での人間関係の構築にも時間がかかります。
中途入社の人は、もともとあるチームに途中から入る「転校生」のような存在。誰も悪くないのに「自分だけ距離を感じる」という状況が起こりやすいのです。
筆者も、「雑談にどこまで入っていいのかわからない」と悩んだ経験があります。
環境や人間関係の「慣れ」には想像以上にエネルギーが必要です。
入社前の期待とのギャップに悩む理由
入社前の想像と現実が食い違うことで「こんなはずじゃなかった」と感じるようになります。
転職活動中は、求人票や面接で伝えられる情報が、「自分の希望どおり」に見えやすいものです。
たとえば、
- 「自由な働き方」が実際は放任主義だった
- 「フラットな組織」と聞いていたのに、実際はトップダウンの社風だった
- 「スキルを活かせる」と思っていたのに、単純作業ばかり
こうしたギャップは、働き始めて一定期間が経たないと見えてきません。
パーソル総合研究所の調査では、「入社後に76.6%もの人がリアリティショックを感じている」ことがわかっています。
📊 参考:就職活動と入社後の実態に関する定量調査
筆者もこれまでの転職経験のなかで、「裁量の大きな環境で働けます!」と言われた職場で、前例主義の文化だった…というケースがありました。
大事なのは「ギャップがあるのは当然」と前提に置いたうえで、その違いをどうすり合わせるか、という視点です。
能力不足・低評価・前職との比較による自己不信
転職直後は結果を出しづらく、前職と比較してしまうことで自己肯定感が下がりがちに。
3ヶ月目は、「そろそろ一人で仕事を進めて成果を出してほしい」という空気が出てくるタイミングです。
しかし、
- 新しいルールや社内ツールに慣れきっていない
- 誰に何を聞けばいいのかわからない
- 評価される行動・成果がわからない
このような状況になると、「自分はダメだ」「期待に応えられていない」と感じやすくなります。
さらに厄介なのが「前職との比較」です。
- 「前の会社ではもっと評価されていたのに…」
- 「こんな簡単な仕事しか任されないなんて…」
前職で活躍していた自分との比較が続くと、今の自分の立ち位置に納得できず自信を失ってしまいます。
筆者も一度、保守的な企業に転職したとき、業務効率を上げるための施策を提案したにもかかわらず「全然検討してもらえない…」と自信をなくしたことがあります。
結論としては、「成果が出るのは時間がかかる」「前職と現職では求められるものが違う」と意識を切り替えることが第一歩です。
✅ 転職3ヶ月で「辞めたい」と感じたときのチェックポイント
「もう限界かもしれない…」と感じたときは、退職を決断する前に一度冷静に状況を整理してみましょう。
辞める・辞めないの判断は、勢いだけで決めると後悔につながることもあるからです。
ここでは、転職3ヶ月で辞めたいと感じたときに確認すべき5つのポイントをご紹介します。
- ブラック企業・ハラスメントの有無
- 契約条件と現実にズレがある場合の対処
- 心身の不調やストレス症状が続いているとき
- 転職の目的や期待が完全に崩れていないか
- 一時的な感情か、冷静な判断かを見極める
ブラック企業・ハラスメントの有無
悪質な労働環境やパワハラがある場合は、退職も選択肢に。
最初にチェックすべきは、今の職場が明らかに「ブラック企業」でないかという点です。
ブラック企業とは、違法な長時間労働や残業代の未払い、ハラスメントが横行している企業のことを指します。
【ブラック企業の代表的な特徴】
- サービス残業が常態化
- 上司からの人格否定、暴言などのハラスメント行為
- 有給休暇が取れない、または取らせない風潮
- 離職率が異常に高い・在籍年数が短い
厚生労働省の調査によると、パワハラを経験した人の36.9%が「何もしなかった」というデータもあります。
問題を一人で抱え込まず、社内相談窓口、総合労働相談センター(各都道府県労働局)、担当のキャリアコンサルタントなどに相談することをおすすめします。
契約条件と現実にズレがある場合の対処
雇用契約と実際の待遇・業務内容が大きく異なる場合は、交渉や早期退職も選択肢に。
「聞いていた話と違った…」では済まないのが、契約内容との乖離(かいり)です。
入社前に提示された労働条件と実際の業務が著しく異なる場合、法的にも問題がある可能性があります。
【ありがちなズレの例】
- 想定年収よりも実際の年収が実際には著しく低かった
- リモート可と聞いていたのにフル出社を強要
- 業務内容が「企画職」のはずが、実際は電話営業ばかり
こういったケースでは、まずは労働条件通知書や雇用契約書を再確認してみてください。
証拠となる書類があるなら、それをもとに人事や上司に改善の余地を相談することが重要です。
筆者の場合は、過去に「賞与の支給条件・時期」について、入社前の転職エージェントからの説明と実態が異なっていたことがありました。
幸い転職エージェントとの当時のメールを保存しており、転職エージェントが企業側と調整してくださったので、大事には至りませんでした。
こうした齟齬が放置される場合は、試用期間中の退職という選択も十分正当化できます。
試用期間は双方の「お試し期間」でもあるため、転職市場でも理由がはっきりしていれば次の転職に致命的な影響はほとんどありません。
心身の不調やストレス症状が続いているとき
心身の不調が続く場合は、休職や退職も視野に入れるべき。
3ヶ月目は様々な現実が可視化されてくるため、プレッシャーや自己否定感が高まる時期。
そのなかで、睡眠障害や食欲不振、極度の緊張、動悸などが続く場合、心身が限界に近づいている可能性があります。
【ストレスによる主な症状】
- 朝、仕事のことを考えるだけで吐き気がする
- 寝つきが悪く、夜中に何度も目が覚める
- 無意識に涙が出てくる
- 食欲が落ちる、胃の不快感が続く
ストレスの兆候がある場合は、人事部門や産業医に相談しましょう。キャリアよりも健康が何よりも大切です。
転職の目的や期待が完全に崩れていないか
転職理由や実現したかったことが今の職場で叶わないなら、今後のキャリアの見直しが必要。
筆者は10回転職経験のなかで、転職後3か月で退職を決意し、転職活動を再開した経験がありますが、この項目が当てはまりました。
転職を決意したとき、きっと何らかの「目的」があったはずです。
たとえば、
- ワークライフバランスを整えたい
- スキルを活かして専門性をもっと高めたい
- 異業種で新たなスキルを身につけたい
それが今の職場で「完全に見込めない」状態であれば、無理に続ける意味は薄いかもしれません。
筆者の場合は、職種は変えずに業種を変えるチャレンジをしました。
しかしながら、自分のスキル・経験の見積もりが甘く、転職後に異業種の転職先で活躍できる未来がまったく描くことができなかったため、早期に見切りをつけました。
とはいえ、100%理想通りの職場はありません。大切なのは、「本当に譲れない条件」が実現可能かを確認することです。
一時的な感情か、冷静な判断かを見極める
「もう辞めたい」という感情は、一時的なストレス反応かもしれません。1週間から1ヶ月のクールダウンが効果的。
辞めたいと感じたとき、それが「その日の出来事」に起因していることもよくあります。
たとえば、
- 自分の業務が上司に評価されなかった
- 業務でミスをして周囲の期待に応えられなかった
- 周囲のスピードについていけず焦りを感じた
これらの感情は、時間が経てば落ち着くこともあります。
大切なのは、「短期的な気持ちの揺れ」と「構造的な問題」を切り分けて考えること。
【冷静に判断するための質問例】
- 1ヶ月前の感情を引きずっているか?
- 辞めた後、後悔しないと言い切れるか?
- 自分の感情を第三者に説明するために言語化できているか?
筆者は転職後に「上司や同僚と業務上の価値観が合わない」と感じたこともありましたが、時間が解決したことも多かったと実感しています。
このような一時的な感情の波が収まったとき、冷静な判断ができるようになります。
⛹️♀️ 転職3ヶ月の壁を乗り越える!今日からできる7つの行動
転職して3ヶ月が経過し、環境に慣れてきたはずなのに、モヤモヤや違和感がつのる時期。
そんなとき、「もう無理かも…」と諦める前にできる行動があります。
筆者自身も10回の転職経験のなかで、このような不安と向き合ってきました。
そのような経験から、ここでは今すぐ取り組める具体的な7つの方法をご紹介します。
- まずは「誰でもしんどい」と理解する
- わからないことはすぐ相談・質問する
- 先輩や周囲とのコミュニケーションを増やす
- 自分なりの目標を立てて小さな成果を積む
- 入社前のイメージと現実をすり合わせる
- リフレッシュ・生活リズムの見直しも重要
- キャリア相談を利用して外部の視点を得る
①まずは「誰でもしんどい」と理解する
転職後3カ月目にしんどく感じるのは「よくあること」だと認識しましょう。
3ヶ月目は、自分に「適応して当然」「結果を出さなきゃ」とプレッシャーをかけてしまいがち。
でも実は、多くの人が3ヶ月目に悩んでいることをご存知でしょうか?
ネオマーケティング社の調査によると、1年以内に自己都合で退職した社員の在籍期間は3か月が最多で全体の22.6%を占めました。
【ポイント】
- 「転職先に適応できない自分はダメ」と思う必要はない
- 「みんなも同じ感情を抱いている」と知るだけで、少し気がラクになる
- まずは新しい環境に対する「正常な反応」だと受け止めよう
最初の壁を乗り越えるためには、まず「自分を責めないこと」が大切です。
②わからないことはすぐ相談・質問する
わからないことは抱えるより、すぐ聞くほうが信頼されます。
新しい職場では「こんな初歩的なこと聞いていいのかな?」と遠慮してしまいがち。でも、質問をため込むとミスが増え、さらに聞きづらくなるという悪循環に陥ります。
もし、あなたが中途入社の社員を迎える側だったらどうでしょうか?
「遠慮せずに聞いてくれた方が助かる」と考える方が多いのではないでしょうか。
ただし、質問をするときには忙しい同僚・上司に対する配慮も必要です。
【質問をためない5つのコツ】
- 質問はストックして、なるべくまとめて確認する
- 自分で可能な限り調べた内容も伝える
- 回答はメモして、同じ質問を繰り返さないようにする
- 入社直後は上司・先輩に1日1回相談の時間を予め設定してもらう
- ランチや会議の後に自席に戻ってきたタイミングを狙う
わからないことは恥ずかしいことではありません。むしろ早く聞いた方が「学ぶ意欲がある人」として信頼されます。
③先輩や周囲とのコミュニケーションを増やす
人間関係を築くことで「相談しやすい空気」ができ、孤独感が減ります。
転職先でつまずく大きな原因の一つが、「相談できる人がいない」こと。
特に中途入社は「1人で馴染む努力」が求められることが多く、孤立しやすくなります。
オンボーディングに力を入れる企業も増えてきたものの、まだまだそのような企業は少ないのが実態です。
筆者は、40代で平均年齢が20代の企業に転職したときに、入社後なかなか声をかけてもらえない状態が続いて苦労した経験があります。
しかし、それは受け入れ側もどうやって接して良いかわからない、といった事情もあります。
そのような環境で心掛けたのが次の3つで、これらを実践することで少しずつ周囲とも打ち解けていけました。
【コミュニケーションの工夫】
- 挨拶+αの一言(「昨日の会議、勉強になりました」など)を心がける
- 雑用を率先して引き受け、チームに貢献したい姿勢を見せる
- チャットで積極的にリアクションする
人とのつながりができると、コミュニケーションも円滑になり、業務のパフォーマンスも自己肯定感も上がります。
④自分なりの目標を立てて小さな成果を積む
「成長している実感」が心の支えに。小さな成功体験を意識的に作る。
入社後3ヶ月間は、成果を感じにくく、「貢献できていない」と感じやすい時期です。
だからこそ、「小さな目標」を設定して、積み重ねていくことが大事です。
【例:小さな目標の立て方】
- 中途入社者のフレッシュな目線で業務マニュアルの改善を提案する
- 上司・同僚に「何かお手伝いできることはありますか?」と聞いてみる
- 所属部門で手付かずになっている業務を引き取る
筆者が外資系に転職したとき、最初の目標は「必ず会議で発言・質問する」でした。
最初は緊張の連続でしたが、少しずつ反応がもらえるようになり、自信につながりました。
成果は目に見えるものだけではありません。「成長実感」も立派な成果です。
⑤入社前のイメージと現実をすり合わせる
「ギャップはあって当たり前」と受け入れ、ギャップを言語化すると対処しやすくなります。
「こんなはずじゃなかった…」と感じることは、転職後にはよくあることです。
筆者も転職後には毎回何らかのギャップを感じていました。
ですが、「なんとなく合わない」というぼんやりした感覚のままにしておくと、モヤモヤがどんどん膨らんでしまいます。
そこでおすすめなのが、「ギャップを書き出してみる」こと。
【ギャップの棚卸し例】
想定していたこと | 実際に感じたこと |
意見が言いやすい職場 | かなり上司の意見が強い |
スキルアップできる環境 | ルーチンワークが中心 |
即戦力として活躍 | 上司と業務の方針が合わない |
書き出してみると、「これは時間が解決するかも」「これは将来違う部署に行けば解決しそう」と、対処策が見えてきます。
⑥リフレッシュ・生活リズムの見直しも重要
仕事だけに意識が集中していると、気持ちが追い詰められやすくなります。プライベートも整えましょう。
転職直後は緊張の連続で、知らず知らずのうちにストレスをため込んでしまいがちです。
特に3ヶ月目は「成果を出さなければ」と無理をしやすく、心身ともに疲れがピークになりやすいタイミングです。
【リフレッシュの方法例】
- 毎朝15分の散歩を取り入れる
- 週末にスマホをOFFにする時間をつくる
- 趣味や習い事を再開する
- 副業で興味のある分野に挑戦する
筆者自身、転職後にギャップを感じていた時期に、投資や副業に挑戦してみました。
「会社員以外に稼ぐ方法があること」が実感できたため、気持ちが軽くなり、仕事にも前向きになれました。
⑦キャリア相談を利用して外部の視点を得る
自分1人で考え込むより、プロの意見をもらうことで視野が広がる。
転職直後の悩みは「周囲に相談しづらい」「中途だから我慢しなきゃ」と感じてしまい、誰にも話せなくなることがあります。
そんなときに頼りになるのが、キャリアアドバイザーやキャリアコーチといった「第三者の専門家」です。
【相談できる外部サービス例】
- 転職エージェント(転職後のサポートを利用)
- キャリアコーチングサービス
- 企業内カウンセラー
筆者も過去にキャリアコーチングを受けたことで、「今の職場は不満もあるけど、自分にとっての「キャリアアップのために必要な経験」と思えるようになりました。
プロの視点を取り入れることで、感情に流されず「戦略的にキャリアを考える」ことができます。
✊ 年代別に異なる「3ヶ月の壁」への向き合い方
転職後の「3ヶ月の壁」は、どの年代でも共通してつらいものです。
筆者が10回の転職経験を通して感じたのは、その「つまずき」や「乗り越え方」は年齢によって違うということです。
ここでは、30代・40代・50代それぞれが直面しがちな課題と、その乗り越え方を具体的に解説します。
- 30代|成長と理想のズレに悩む人へ
- 40代|評価・柔軟性・役割の変化への適応
- 50代|経験の活かし方と人間関係構築の工夫
30代|成長と理想のズレに悩む人へ
30代は「理想と現実のギャップ」に揺れる時期。過度な理想は一度「解像度」を上げて現実とすり合わせよう。
30代はキャリアの中核期。ある程度のスキルや経験を持って転職する人が多く、
「次こそはステップアップしたい」
「もっと成長できる環境を選びたい」
と思っている人も多いのではないでしょうか。
でも実際には、
- 「期待していたほどの業務が任されない」
- 「キャリアアップのスピードが遅い」
- 「上司や同僚と合わない」
といった「理想と現実のズレ」にぶつかることが少なくありません。
たとえば筆者がベンチャー企業から創業100年を超える老舗企業に転職したとき、社内調整業務や何も決まらない儀式的な会議の準備が大半を占め、落胆した記憶があります。
【30代が陥りがちな落とし穴】
- 「転職=理想の実現」だと期待しすぎる
- 入社3ヶ月ですぐ結果を出そうとして焦る
- 「もっと挑戦できると思っていた」と思い悩む
こういうときは、「何が理想で、今何が足りないのか?」を言語化して整理してみるのがおすすめ。
「やりたかったこと」の全てができていなくても、一部でも満たされているなら、「今の環境でどう成長するか」という視点を持てば、次の一歩が見えてきます。
また、「自分が馴染めない文化で仕事をすること」は、きっと新しい環境に適応するスキルを向上させることにつながるでしょう。
40代|評価・柔軟性・役割の変化への適応
40代は「即戦力」として見られる一方、柔軟性や調整力も問われます。「過去の実績」を一度手放すことがカギ。
40代になると、転職先から「期待されて当然」、「成果を出してくれるだろう」という視線を強く感じることが増えます。
そのぶん、結果が出ないと「思っていたより評価されない」、「信頼されていないのでは?」と感じやすくなります。
また、前職で管理職やリーダー職の経験があると、転職先での「扱われ方」にギャップを感じることも。
【よくある40代の課題】
- 「部下を持たず現場担当に戻る」ことへの違和感
- 年下上司との価値観のズレ
- 新しいやり方・価値観への適応
筆者は40代の時に年功序列の大手企業からベンチャー企業に転職した際、フラットでカジュアルなカルチャーに戸惑ったことがあります。
でも、その時に「自分の正解を手放す」ことで、一気に人間関係がラクになりました。
【40代が壁を越えるために必要なこと】
- 柔軟性と傾聴力を意識する
- 「過去の肩書き」より「今のチームでの役割」に目を向ける
- 自分の経験や価値観を押しつけない意識を持つ
「過去の成功体験=いまの正解」とは限りません。一歩引いて、新しい環境での学びを楽しむ姿勢が重要です。
50代|経験の活かし方と人間関係構築の工夫
50代は「経験と知識」が大きな強み。ただし、「孤立しない」工夫と「今の常識」への適応がカギ。
50代の転職は、過去の実績や人脈が強みになります。
しかし、職場では年齢的に、「気軽に声をかけづらい」と思われてしまうこともあり、孤立してしまうケースも見られます。
【50代が直面しやすい課題】
- 年下ばかりの職場で居心地が悪い
- 自分だけITツールの習得に時間がかかる
- 若手の社員に相談しづらく、助けを求めにくい
筆者は、過去の実績に固執する50代社員が、入社時の不適切な言動によって、その後の業務に支障が出たケースを何度か目にしたことがあります。
入社時の印象はとても重要です。転職先で成功するためにも以下のアクションを意識しましょう。
【50代が取るべきアクション】
- 若手にも敬意を持って接する(=横の関係を意識)
- ツールやルールを積極的に学ぶ姿勢を見せる
- 「指導」ではなく「経験談をシェア」するスタンスを持つ
50代は孤高の存在になりがちですが、それはもったいないこと。
経験を活かすには、まず相手を理解し、協力し合える関係性を築くことが重要です。
🤔 辞める?続ける?決断前に考えるべき3つの視点
転職後3ヶ月で「辞めるか、続けるか」を迷うとき、感情に任せて即決してしまうと後悔につながりかねません。
筆者は10回の転職経験のなかで、入社後3か月で退職を検討し、実際に転職したことも思いとどまったこともあります。
退職を決断する前に、一度立ち止まって以下の3つの視点で考えてみましょう。
- 社内異動や業務変更などの選択肢を検討する
- 将来のキャリアにどうつながるかを考える
- 第三者(転職エージェント・キャリアコーチ)に相談する
社内異動や業務変更などの選択肢を検討する
今の悩みが所属部署や業務内容によるものなら、社内で解決できる可能性があります。
「今の仕事が合わない」、「上司・同僚と合わない」などの理由で辞めたくなった場合、その課題が「業務内容」や「所属部門」に原因があることもあります。
もしそうであれば、会社に在籍したまま別の部署への異動や担当業務を変更するなどの選択肢を検討するのがおすすめです。
たとえば筆者の経験で、転職前の海外ビジネスの経験がまったく活かせない業務に就くことがありました。
上司に相談したところ、新規事業でそのスキルが活かせる機会があるとのことで、半年後にはその新規事業の業務を担当させていただくことになりました。
採用した企業にとっても、採用コストがかかっているため、合理的な事情であれば退職させない方向で検討はしてくれるはずです。
【確認すべきポイント】
- 社内で公募制度はあるか
- 今の業務でどこに一番ストレスを感じているのか
- 自分のスキルが他部署でも活かせるかどうか
大手企業では、定期的な異動制度やジョブローテーション制度がある場合も多く、あえて「社内転職」する選択も有効です。
また、ベンチャー企業では、今後の新規事業で自分のスキル・経験を活かすことができる機会があるかもしれません。
将来のキャリアにどうつながるかを考える
目の前の不満よりも「この経験が将来にどう活きるか」を基準に考える。
つらさや違和感に直面していると、目の前の問題ばかりが気になってしまいます。
いっぽう、少し先の未来に目を向けて「この環境で得られる経験は何か?」を考えてみることも大切です。
たとえば今、ルーティン業務ばかりでやりがいが感じられないとしましょう。
そこで身につく業界知識、社内調整力、資料作成スキルなどが、将来の転職やキャリアアップの土台になるかもしれません。
前述のとおり、筆者はある転職先で、海外営業のスキルをまったく活かせない国内営業に配属されたことがありました。
当初は正直やりがいを感じられませんでしたが、そこで覚えたプレゼン技術や提案方法は、その後別の業務を担当した時にとても役立ちました。
【キャリアの視点で考えるヒント】
- 今の仕事でしか得られない知識・スキルはあるか?
- 将来やりたいことに近づけている実感はあるか?
- 今の経験を「職務経歴書にどう書けるか」を想像してみる
このように、「今の不満」だけでなく「未来への投資価値」という視点で考えると、「あと3ヶ月は頑張ってみよう」という気持ちになれることがあります。
第三者に相談する
自分だけでは気づけない選択肢や思い込みを、第三者の視点で整理してもらうことができます。
「辞めるかどうか」を1人で抱え込むと、思考がどんどん偏ってしまいます。そういうときは、利害関係のない第三者に相談するのが一番です。
【相談できる第三者の例】
タイプ | 特徴 |
転職エージェント | 市場価値・他社との比較ができる。相談無料。 |
キャリアコーチ | 自分の思考を深掘りするサポートをしてくれる。有料だが中立的。 |
転職経験のある知人 | 自分の経験からの学びも含めたアドバイスができる。 |
筆者が一番助けられたのは、登録していた転職エージェントのキャリアアドバイザーのアドバイスでした。
「現状はつらいかもしれませんが、まずはどんな小さな事でも良いので成果を出しましょう。その後に転職するか留まるかを検討すれば良いんです。」
その言葉で思いとどまり、半年後には転職先のカルチャーにもフィットして様々な経験を積むことができました。
🔖 記事のまとめ
転職して3ヶ月後に、
「思っていたのと違う…」
「前職の方が良かったかも」
と感じているなら、それはあなただけではありません。
むしろ、多くの人が同じように「転職3ヶ月の壁」にぶつかっています。
筆者もこれまで10回の転職を経験し、同じような感情を味わったことがありました。
でも安心してください。この壁には「乗り越える方法」も「判断する基準」もちゃんとあります!
この記事のおさらい
- 転職3ヶ月目に違和感を覚えるのは自然なことであり、多くの人が経験している
- 辞めるかどうかを判断するために「ブラック企業か」「心身に影響が出ているか」など5つのポイントで確認
- 今日からできる7つの乗り越え方(相談する、目標を立てる、リフレッシュなど)を実践
- 30代・40代・50代それぞれのつまずきやすいポイントとその対策を確認
- 辞める前に3つの視点(社内異動・キャリアの将来性・第三者の意見)で検討
まずは、辞めたいと思った理由が一時的な感情なのか、自分ではコントロールできない問題なのかを見極めることが重要です。
そして、もし現職で改善の余地があるなら、社内異動や業務変更、働き方の見直しといった選択肢も視野に入れてみましょう。
それでも心身に不調が出ている場合や、どう考えても価値観が合わないと感じるなら、再転職も選択肢になります。
「辞める・続ける」のどちらを選ぶにしても、判断軸をもって行動できれば、次のキャリアへのステップになります。
実際に、筆者も失敗から得た学びによって、次の仕事選びの精度が上がって満足度の高い転職ができた経験があります。
転職3ヶ月目は、自分自身と向き合う大切なタイミング。焦らなくても大丈夫です。
あなたのペースで、一歩ずつ進んでいきましょう。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。また次の記事でお会いしましょう!
✏️ にぬきたまご
これまで主にエンタメ業界で10回の転職を経験。日系、ベンチャー、外資系に勤務。現在は11社目の企業で執行役員として勤務中。
【転職活動の実績】
- 転職回数:10回
- 応募:200社以上
- 登録転職エージェント数:30社以上
- 登録転職サイト:10社以上
これまでの転職活動の経験を活かして、2020年より転職ブログを運営。応募者の目線で転職活動のお役立ち情報を発信中。
X(Twitter):@tenshoku_sitara